<卓球:世界選手権>◇7日目◇14日◇オランダ・ロッテルダム

 日本男子のエースで世界ランク7位の水谷隼(21=明大)が、中国の壁に阻まれた。男子シングルス準々決勝で、前回大会王者で世界ランク1位の王皓(中国)に0-4の完敗。日本勢として79年平壌大会以来32年ぶりのメダル獲得を逃した。15日の最終日を待たずに日本勢は全種目で姿を消し、今大会のメダルは混合ダブルスで福原愛、岸川聖也組が獲得した銅メダル1つだった。

 中国の壁は高く、険しかった。あっさりと試合が終わると、水谷は現実を受け止めることができなかったのだろう。無表情のまま会場から姿を消した。しばらく頭を整理するまで、言葉も出てこない。競り合うことすらできず0-4のストレート負け。力の差は誰よりも水谷自身が痛感した。

 「完敗です。ボールの回転が速くて、カウンターも難しい。何もすることがなくなってしまった。守って、守って、ああいう展開にするしかなかった」。

 ボールの質は、想像を超えていた。王皓には09年東アジア大会で勝ったこともある。だが、それも相手が調子を崩していた時期だ。既に12年ロンドン五輪出場は確実だが、壁を越えなければメダルは遠い。今大会は男子シングルスで8強のうち6人、女子シングルスでも7人が中国選手。水谷だけでなく、女子のエース福原も、石川も、平野も中国の壁に屈した。

 少しでも差を埋めるため、すぐに武者修行に出る。17日に帰国後、29日開幕の中国スーパーリーグに参戦する。水谷は「中国に行って、あのレベルの選手のボールを直に受けるしかない。何度でも行きます。日本対中国というより、世界対中国。世界を代表して(中国に)勝ちたい」。屈辱を糧に、日本男子のエースは再出発する。【益子浩一】