<高校ラグビー山形大会:山形中央17-7山形南>◇21日◇決勝◇山形県総合運動公園ラグビー場

 山形中央フィフティーンが、友との誓いを果たした。山形南に逆転勝ちし、15年連続21度目の花園(12月27日開幕、大阪近鉄花園ラグビー場)出場を決めた。7月30日に2年生の鈴木滋人さん(享年17)が熱中症で亡くなり、約1カ月間活動を自粛。チームに精神的ショックが広がり、練習不足も否めない中で苦しい試合をものにした。

 自陣にくぎ付けだった前半から一転、風上に立った後半に底力を見せた。15分に追いつき、19分にはプロップ伊藤史弥(2年)が勝ち越しトライ。鈴木さんと同じプロップとして1年時から主力を張り、昨年はクラスも同じだった。「一番明るくて、いじられ役だった。あいつの分も頑張ろうと話してきたんで良かった」と思いがあふれた。

 例年行ってきた8月の合宿も中止。練習中の事故とあってチーム内の動揺は大きく、夏休み明けから練習を再開しても調整不足は明らかだった。それでも、一番ショックだったはずの2年生が「滋人を花園に連れていく」を合言葉に気持ちを奮い立たせ、チームも結束。この日は7日の練習試合で左眼窩(がんか)底を骨折した菅修平主将(3年)を欠きながら、粘りを見せた。

 ベンチで優勝を見届けた菅は、ホッとした部分が大きいという。「亡くなった日、滋人の家に行った部員が両親に『滋人を必ず花園に連れていって』と言われていたんです。今年こそ、1勝でも上にいきたい」。次は、8年ぶりの初戦突破をささげる。【亀山泰宏】