<卓球:日本リーグ後期大会・JOCエリートアカデミー3-2日立化成>◇22日◇味の素トレーニングセンター卓球場

 佳純と梨良(りら)の姉妹対決が実現した。ロンドン五輪女子団体銀メダルの石川佳純(19=全農)がゴールド選手(レンタル)として、女子1部の日立化成で五輪後初の公式戦に臨んだ。1番手で登場すると相手は公式戦初対決となる妹梨良(15=エリートアカデミー)だったが、3-0で姉の貫禄を見せた。試合はエリートアカデミーの勝利。試合後は16年リオデジャネイロ五輪へ、姉妹同時出場を誓った。

 出場選手のボードに並んだ2つの「石川」の名前。五輪以来2カ月半ぶりの実戦で佳純が挑んだ相手は、前日も紅白戦で戦った妹だった。試合前に交わす握手が、どこかぎこちない。「五輪が終わってから初めての試合ですごく緊張したし、加えて相手が妹。やりにくかったです」。公式戦で妹梨良と初めての対戦。思わず苦笑いを浮かべた。

 粋な演出だった。エリートアカデミーの近藤監督が盛り上げようとぶつけた。左利き同士。ともに7歳から本格的に、元選手の母久美さんに教わってきた。佳純が強打を放てば、5学年下の梨良も負けじと打ち返す。勝負は3-0で「すごく強かった。今まで対戦した相手で一番強い」と妹は感嘆したが、姉も「ナイスボールを打たれて、すごく強くなった。試合中も『あ、すごい』と家族として思っちゃった」とうれしがった。

 妹が追いついて並んだ背丈。容姿も似ているが、性格は自他共に正反対と認め「お姉ちゃんは『男の中の男』という肉食タイプが好きだけど、私は草食系」(梨良)と好きな男性の好みも分かれる。ただ、2人が目指す場所に違いはない。

 佳純は、尖閣諸島の問題で中国スーパーリーグ参戦を断念したが「残念だったけど、来年もチャンスがある」と、まずは12月のワールドツアー・グランドファイナル(中国)出場を目指して前進している。そんな姉を、五輪を国内でテレビ観戦した梨良は、憧れから目標に定めた。16年リオ五輪へ「お姉ちゃんと一緒に出られたら」「妹と一緒に頑張りたい」。石川姉妹の夢は、直接対決を経て、強まった。【今村健人】

 ◆エリートアカデミー

 日本オリンピック委員会が将来、五輪など国際大会で有望な中高校生を都内ナショナルトレーニングセンターに集めて寄宿制で一貫指導するシステム。08年度から始まり現在5期目。卓球やレスリング、フェンシングで行っている。