<全日本体操種目別選手権>◇30日◇東京体育館◇男子床運動決勝ほか

 スーパー男子高校生が、世界選手権への初切符をつかみとった。床運動で白井健三(16=岸根高)が今シーズン世界最高得点となる、15・900点をたたき出した。世界選手権(9~10月・ベルギー)への派遣標準得点をクリアし、床運動で初優勝した。男子としては史上最年少での世界選手権代表入り。白井は世界選手権で男子初の高校生代表となった。

 全員の目が、得点板に注がれた。床運動が最初にスタートしたため、他種目の審判、サブ会場で練習していた選手たちも、白井の結果を待った。時間がかかり表示されたのは「15・900」。世界選手権への派遣標準得点をマークし、会場が沸くのと同時に白井はガッツポーズ。「(目標が)達成できて満足です。盛り上がっている会場は楽しかった」と笑顔で話した。

 男子高校生の世界選手権代表入りは日本初の快挙。今までは89年の池谷幸雄、西川大輔の大学1年が最年少だったが、その記録を16歳の白井が塗り替えた。

 演技最初のコンビネーション、後方宙返り3回半ひねり~前方宙返り2回ひねりは、世界初の構成。F難度の後方宙返り4回ひねりで演技最後の着地を決めるのも世界初。空中姿勢で足が開くなどのミスはあったが、予選で失敗した着地もしっかり決めた。男子日本代表の水鳥監督は「世界トップ選手。今日の演技をすれば優勝できるレベルだと思う」と期待を寄せた。

 世界王者で床運動を得意とする内村航平(24)も、脱帽した。ロンドン五輪での内村の床運動は、ひねりが19・5回。白井はそれを上回る22・5回のひねりを入れてきた。内村に「ひねりすぎて気持ち悪い(笑い)。僕も(加藤)凌平もひねるけど、はるかに超えている」。加藤には「合宿で一緒に練習するときに教えてほしい」と言わせた。

 演技後、白井の着たTシャツには「若獅子」の文字。日本体操界の若者が、世界に力を見せつける。【保坂恭子】<白井健三(しらい・けんぞう)アラカルト>

 ◆生まれ

 1996年(平8)8月24日、横浜市生まれ。

 ◆競技歴

 3歳から本格的に始め、11年全日本ジュニア2部、全国中学の床運動で優勝。同年全日本種目別の床運動で2位。12年アジア選手権床運動金メダル、団体銀メダル。

 ◆得意な種目

 床、跳馬。

 ◆家族

 父勝晃さん、母徳美さん、長男勝太郎さん(コナミ)、次男晃二郎さん(日体大体操部)。

 ◆勉強

 得意科目は日本史。苦手科目は数学。

 ◆サイズ

 159センチ、50・5キロ。