<競泳:ジャパンオープン>◇21日◇東京・辰巳国際水泳場◇女子50メートル背泳ぎ決勝ほか

 競泳のジャパン・オープン第3日は、女子50メートル背泳ぎで35歳の稲田法子(セントラルスポーツ)が28秒56で初優勝した。92年バルセロナ五輪に岩崎恭子らと「中2トリオ」で出場したベテラン。派遣標準記録には0秒66届かず、9月の仁川アジア大会の出場は微妙だが、男女を通じて最年長優勝で健在ぶりを示した。

 35歳稲田の優勝タイム28秒56は、11年前の世界選手権銅メダルタイムを100分の6秒上回った。アジア大会の派遣標準記録に0秒66及ばなかったが、24歳の自分を超え、いまだ進化中であることを証明した。

 92年バルセロナ五輪に岩崎らと「中2トリオ」で出場。25歳以上の女子選手が少ない中、来月には36歳になる。決勝レースは2位で大学4年の諸貫とは14歳、8位で中1の酒井とは実に23歳差。優勝インタビューでは「技術を磨けば、磨くほど速く泳げる。皆さんも諦めないで泳いでください」と説得力のある言葉を投げ掛けた。

 04年アテネ五輪後に引退。コーチ留学した米アリゾナで指導をしているうちに情熱がわき上がり10年4月に現役復帰した。現在も同地で練習をしながら10歳以下の約80人を教える。体力の衰えは実感するだけに「疲れる前にやめる」と練習量は若いころの4分の1。その分、効率の良いストロークを目指し「水に乗れる泳ぎ」を追求している。

 12年ロンドン五輪出場は100分の7秒差で逃した。今年のアジア大会出場も厳しいが「限界」の文字は知らない。「来年は世界選手権を目指す」と2年後のリオデジャネイロ五輪も視野に入れている。【田口潤】

 ◆稲田法子(いなだ・のりこ)1978年(昭53)7月27日、埼玉県草加市生まれ。92年バルセロナ、00年シドニー、04年アテネと3度の五輪出場。シドニーでは100メートル背泳ぎで5位入賞。03年世界選手権50メートル背泳ぎは日本記録で銅メダルを獲得。アテネ五輪後に引退してコーチ留学したが、10年4月に現役復帰。12年4月の日本選手権100メートル背泳ぎは3位で、2位以内のロンドン五輪出場権を逃した。167センチ、61キロ。