やっぱり野性がうずく?

 柔道の日本代表が3日、約20カ国の選手が集まる国際合宿に参加するためスペインへ出発した。ロンドン五輪柔道女子57キロ級金メダリストの松本薫(26=フォーリーフジャパン)が成田空港の書店で購入した本のタイトルは「キレた!

 その時」。キレた事例が載っており、「ぱらぱらと見ていたら『柔道で相手がワキガだったとき』とか書いてあって、思わず買いました」と苦笑しながら、「私も試合中はキレてるのかな」としばし考え込んだ。

 「野獣」の愛称通り、試合中に頼るのは「野性の勘」と言い続け、世界の頂点に立った。ところが、最近は「(試合中に)余裕ができた。自分がどういう状態かを自分で感じられている。悟りですかね」という人間的な側面も。優勝した先月の国際大会でも理性的な自分を感じていたというが、そこはやはり「野獣」健在か。

 ロンドン五輪後はケガなどもあり苦しんだが、3年ぶりの優勝を狙う世界選手権(8月、ロシア)を前にして好調著しい。完全復活へ、問題はどう野性と理性の折り合いをつけるか。キレる自分を感じながら、キレ味鋭い技を出せれば、新境地に目覚めた世界女王が誕生するはずだ。【阿部健吾】