新潟工が15大会連続43回目の優勝を決めた。主将のNO8松田大空(たく、3年)が4トライと大暴れ。0-5の前半5分、相手キックをチャージして同点トライを決めると、後半は3トライ。チームの猛攻をけん引し、快勝に導いた。全国高校大会は12月27日、大阪・花園ラグビー場で開幕する。

体を張った。松田の果敢なプレーが、新潟工に火をつけた。0-5の前半5分、敵陣ゴール前で、タッチに逃れようとする相手のキックをチャージ。バウンドするボールを拾い、同点トライを奪った。

「タックルしようと思ったが、相手がキックモーションに入ったので、チャージしかなかった」。新潟工は開始46秒で北越にノーホイッスルトライを奪われた。今大会初失点。ただ、メンバーに動揺はない。「みんな落ち着いていた。追い込んで前に出る。やるべきことをやった」。アグレッシブなプレーを松田が率先し、流れを変えた。

そこから新潟工の猛攻が始まった。終わってみれば、合計7トライ。松田は後半も4分、7分、29分とインゴールに飛び込む。ラック、モールで押し込んでからものにする、新潟工の伝統の形を実践した。1人で4トライの荒稼ぎに、樋口猛監督(46)は「素晴らしいプレーだった」と絶賛した。

県勢39大会ぶりの花園2勝で3回戦に進出した一昨年から、松田はレギュラーに座っている。ただ、「人前で話すのは苦手。キャプテンシーもあまりない」と主将としての自己評価は控えめ。就任当初は、意思をうまくチームメートに伝えられず、もどかしい思いをした。

その分、努力もした。練習前にハドルを組み、毎日げきを飛ばし続けた。何より背中で見せた。やるべきプレーに率先して取り組んできた。副主将のCTB佐藤歓(3年)は「口下手だけど、プレーで引っぱってくれる。同点トライがその典型」。武骨な主将が15連覇へチームを導いた。

樋口監督は「一昨年よりも総合力は上。先制点を許した後もコミュニケーションを取り、自分たちで試合をつくった」とチームの成長を感じた。花園の目標はベスト8。「一昨年、ベスト16で敗れて悔しかった。先輩たちの思いも持って狙う」と松田。歴史を変えることを全国でのターゲットに据えた。【斎藤慎一郎】