授かり婚は、部屋の伝統だった!?

 横綱鶴竜(29=井筒)が6日、東京都墨田区の井筒部屋で婚約会見を行った。相手のモンゴル人学生ダシニャム・ムンフザヤさん(23)も同席。5月に第1子が誕生予定の鶴竜に、師匠の井筒親方(53=元関脇逆鉾)は「(授かり婚は)部屋の伝統」とユーモア交じりに祝福した。

 やや緊張気味だった会見の冒頭。幸せな2人をなごませたのは、師匠の井筒親方だった。21年前の94年5月、既に結婚していたことと当時7歳だった長女清香(さやか)さんの存在を明らかにして周囲を驚かせた同親方は、自虐気味に切り出した。

 「鶴竜にはですね、昔から順番を間違えるなと言ってたんですが、うちの部屋は技能賞の部屋で、そういう伝統がある。そういうことで、しょうがないかと。皆さんに、ご心配をおかけしてますが、許してもらいたい」

 実は同親方の弟の元関脇寺尾(現錣山親方)も、95年の結婚発表時は夫人の妊娠後だった。同部屋だった元大関霧島(現陸奥親方)も、86年6月の挙式後すぐに長女が生まれていた。ムンフザヤさんも5月に第1子を出産予定。まさに、井筒部屋の“伝統”を受け継ぐような「授かり婚」で伴侶を射止めた愛弟子を、ユーモア交じりに祝福した。

 鶴竜とムンフザヤさんは13年末に知人を介してモンゴルで知り合った。「すごく元気で明るい人」と鶴竜が一目ぼれし、昨年8月から都内で一緒に暮らし始めた。おかみさんに借りた鮮やかな朱色の和服を着たムンフザヤさんも「落ち着いていて優しい。おちゃめなところもある」とモンゴル語で話した。挙式披露宴は、第1子出産後になる予定だ。

 彼女と出会ってから昨年春場所で初優勝、横綱昇進と勝運にも恵まれた。この日、鶴竜は初場所(11日初日、両国国技館)へ向けて尾車部屋での二所ノ関一門連合稽古に顔を出し、大関稀勢の里と9勝5敗。「プレッシャーを感じないように自分の相撲に集中して(目標は)もちろん、横綱としての初優勝」と力を込めた。愛する人に支えられ、待望のジュニア誕生前に賜杯をつかむ。【木村有三】