関根学園が、糸魚川白嶺との打撃戦を制した。公式戦初出場でクリーンアップの3番に座った水井健太(1年)が、3本の長打を含む4打数4安打3打点で大暴れした。両チーム合わせて安打36本が乱れ飛ぶ乱打戦。うち、21安打を放った関根学園が勝利を手にした。

 水井が放った豪快な一撃は、打球を追って背走する糸魚川白嶺の中堅・山本大樹(1年)の頭上を越えた。7-5で迎えた8回表1死三塁。会心の三塁打で、積み重ねた長打は3本になった。5回1死からは左中間への二塁打。4-4で迎えた6回2死二、三塁の場面では右中間への2点二塁打を放った。「リラックスできた」と、初めての公式戦とは思えないほどの腹の据わりっぷりだった。

 「夏はベンチ外だが、成長度が見えた。一番信頼できる打者」と水井を評した安川斉監督(55)は続けた。「どんなボールにも食らいつく、柔らかさがある。貴重な存在です」。公式戦デビュー戦で4打数4安打3打点の大当たり。大活躍にも、1年生は決して舞い上がっていなかった。「次の試合もしっかり取り組みたいから、今日のことは忘れる。一から、チームのためにやりたい」。頼もしい限りの16歳だ。

 もともとは、将来の左腕エース候補。制球不足のため、今は右翼手を務めている。「投手が楽になるように、打撃で助けたい。投手の気持ちは分かっている」と投手心理を熟知しているだけに、打撃でチームを援護する。この日の関根学園はチーム安打21本。投手を支えた打撃陣の中心に水井がいた。

 チームは夏休みにロングティー、ティー打撃でバットを振ることに重点を置いてきた。「投手力が不安だが、ウチは打撃が売り。打てなかったらお手上げ」。安川監督が、そう話したチームカラーにも、水井はしっかり染まっていた。

 長野県の飯山市から、水井は野球留学。「昨年10月のオープンスクールで、チームの雰囲気がよかった」と現在、親元を離れて寮生活をしている。洗濯などを自分で行うなど「親のありがたみを感じている」と言う。そんな自立が野球にも好影響を与えている。夏のクリーンアップだった佐藤幹基(1年)、荒井颯太(1年)を6、7番に押しのけて、主軸打者の一角だ。「チームの勝利に貢献したい」と水井は、生真面目に話した。【涌井幹雄】

 ◆水井健太(みずい・けんた)1999年(平11)5月19日、長野県飯山市生まれの16歳。長野・城南中卒。中学時代は少年硬式野球の飯山シニアに所属。捕手の藤沢大地(1年)は同シニア時代のバッテリー。家族は両親、兄、姉。左投げ、左打ち。175センチ、70キロ。血液型AB。