この経験を糧に-。阪神2年目左腕、門別啓人投手(19)は悔しさをにじませながら言葉を絞りだした。

「久々にこんな打ち込まれたので…。また頑張らないといけないです」

「長嶋茂雄DAY」として開催された一戦で、今季初先発の大役を任された。いつにも増してアウェームードが漂うマウンド。立ち上がりから巨人打線にのみ込まれた。初回から2死一、二塁のピンチを招くと、5番坂本に先制の左前適時打を浴びた。あと1死が奪えず、長野、小林、門脇にも適時打を打たれ、4連打であっという間の4失点。高卒入団左腕でプロ初勝利が巨人戦なら球団初の快挙も期待された試合で、いきなり“洗礼”を浴びた。

「最後に決めるところが、甘く入ってしまった。変化球も落ち切らなかったり、キレも全然なかった」

毎イニング、ベンチでは梅野や安藤投手コーチと対策を練った。直球が甘く入ってしまっていたことから、ツーシームなどを使う打たせるスタイルに転換したが、火が付いた勢いを止めることはできなかった。2回は岡本和に高めに浮いた138キロ速球を捉えられ、左翼へ2ランを被弾。75球を投げ、3回6安打6失点で無念の降板となった。

岡田監督は「ちょっと(コースを)そろえすぎよな。もっと大胆にいかなアカンわ、腕振って。変化球ばっかり、ツーシームかなんか…。何で真っすぐ放らへんのやって言うたんや」と指摘した。それでも19歳にとってはプロ2度目の先発マウンド。苦い初黒星を喫したが「いい経験になったんちゃう」と成長の糧にすることを願った。

指揮官は今後について「1回投げさす、下で」とも明言。2軍での再調整を挟み、リベンジのプロ初勝利に期待する。次週10日のDeNA戦(横浜)は「1回飛ばしとるからな。最初からそういうつもりやったけど」と青柳が先発する見込みとなった。

門別は「課題が今日全部出た。また一から頑張っていこうと思います」と前を向いた。悔しさをバネに再出発する。【波部俊之介】

〇…門別の家族も東京ドームで投球を見届けた。北海道からこの日の午後に東京へ移動。父竜也さん(41)と母実保さん(42)、祖父母ら親戚5人で駆けつけた。竜也さんは「ちょっと緊張して、投げ急いでいるようにも見えましたね。でも全然いいです、見られただけで。経験になったと思います」と息子の勇姿を振り返った。

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