「1日1発ペース」で本塁打を量産だ。早実(西東京)の清宮幸太郎外野手(2年)が、今春公式戦初戦で高校通算36本目のアーチをかけた。町田戦に「4番中堅」で出場し、5回の第3打席に右翼席へ推定110メートルのソロ本塁打。3打数2安打1四球2打点で6回コールド勝ちに導いた。3月8日の練習試合解禁から、試合が組まれたすべての日で1発を放って今春12戦14発。目標の通算80本塁打が現実味を帯びてきた。

 狙い通りの36号だった。5回無死、清宮が真ん中に入った7球目のカーブをとらえた。「カーブは1つ空振りしたし、ストレートは来ないと思った。少しこすったけど、いいホームランだったと思います」。直前の6球目に内角直球を隣接する神宮球場まで届く特大ファウルにしたため、3球目に空振りした球を待った。納得の打球は、両翼91メートルの右翼席に設置されたネット中段に突き刺さった。

 昨年までは緩急に苦しんでいた。2回戦で敗れた秋の東京大会は、徹底した変化球攻めにあい9打数3安打1本塁打。この日対戦した町田の西内悠太投手(3年)も「内角と緩急を使えば抑えられると思った」と分析していたが、清宮は配球を読み切っていた。次打席は押し出し四球。相手に「どこに投げていいかわからなかった」と言わせるほど、弱点を克服していた。

 3月上旬、バットの先端を投手側に向けるタイミングの取り方を微調整した。「内角にバットが出てこない感じだったので、相手が投げ始めるくらいで横に変えてみたら打球も上がるようになった」。スイング直前に頭の後ろでバットを寝かせることで内角攻めにも対応。加えて「体がスウェーしなくなった」。緩い球にも体勢を崩されない「我慢の打撃」を手にした。

 小学校時代から本塁打を追求してきた。北砂リトルの日高淳二監督(44)は「どうやって体を使えば遠くに飛ぶか、ティー打撃から考えていた」と話す。「子どもには難しい」という、左脇を締めて押し込むスイングを繰り返して体に覚えさせた。

 練習試合を含めた12試合で14発と驚異的なペースで量産し、通算本塁打も36本になった。「今までも(通算)80本くらい打ちたいと言ってきたので、それくらいはいきたいですね」。公式戦では初の中堅守備も無難にこなし、3回には好返球で補殺を記録。目の前に立ちはだかる壁を、清宮はすべて打ち破っていく。【鹿野雄太】

 ◆高校通算本塁打 公式戦と練習試合の合計。ペースは練習試合の数、球場の広さ、相手の実力などによって左右される。ちなみに通算87本の中田翔(現日本ハム)は大阪桐蔭2年夏の06年大阪大会(大阪桐蔭の初戦=7月15日)が始まるまでに41本だった。64本の清原和博(PL学園)は2年夏の甲子園終了までで半分の32本。60本の松井秀喜(星稜)は3年春のセンバツ開幕時に42本。