第89回選抜高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)に出場する盛岡大付(岩手)が、AKB48さながらの「選抜総選挙」で横一線からベンチ入りメンバーを絞り込む。29日、福島・いわき市内で行われている強化合宿には部員78人中、選抜された48人が参加。実戦形式の打撃練習に登板した1年生左腕の松本跳馬(しゅうま)が、打者10人を無安打6奪三振に抑えて猛アピールした。2月21日スタートの静岡・沼津合宿を前に35人に絞られ、センバツにはサバイバルレースを勝ち抜いた18人で乗り込む。

 AKB48ならぬ、MDF(盛岡大付)48だ。打者は平等に9度の打席に立たせ、11人の投手も同じ数の打者に投げさせる。選抜された48人には同じステージが用意されていた。横一線で競わせ、チーム内の活性化を狙った関口清治監督(39)は「秋までの実績は1度リセットして、サバイバルしてほしかった。秋からメンバーが入れ替わっていたら、チームの底上げに成功したということ」と意図を説明した。

 中でも松本が決死の覚悟でアピールした。昨秋の県大会で1年生ながらベンチ入りしたが、東北大会は不調でメンバー外。巻き返しを狙った左腕は新球の沈むチェンジアップを巧みに使い、打者10人に無安打6奪三振。高校通算36本塁打の核弾頭・植田拓外野手(2年)からは三振を奪った。「秋にはそんなに落ちなくて封印したチェンジがしっかり落ちた。この合宿ですべてが決まる。結果がすべて」と気を引き締めた。

 偉大な“先輩”に続く。兄のソフトバンク松本裕樹投手(20)は同校OBで1年夏、2年春、3年夏の3度の甲子園を経験した。年末には兄と実家のある横浜で会食し「センバツでは頑張れって言われました」。182センチの長身ながら体重はわずか73キロで、まだ成長途上。関口監督は「体が大きくなれば面白い存在」とさらなる飛躍を期待する。

 ベンチ入りはわずか18人。松本は「去年の先輩が投げているのを見て、自分も甲子園で投げたいと思った」と選抜入りを狙う。総選挙さながらのサバイバルレースを勝ち抜き、大舞台「甲子園」で暴れる。【高橋洋平】

 ◆盛岡大付の今後の日程 31日に3泊4日のいわき特別合宿が終了。35人に絞られた後の第1次合宿は、2月21日から4泊5日で静岡・沼津市にて実施。第2次合宿は3月2日から8日まで、沖縄・うるま市で行う。組み合わせ抽選会は10日に行われる。