<高校野球・秋季山形県大会:山形城北3-1酒田南>◇27日◇YZ・タカスタ◇3位決定戦

 山形城北が、2季連続の甲子園出場を狙った酒田南を3-1で下した。後藤雅貴投手(2年)が7安打完投勝利。6年ぶり2度目の、東北大会出場への立役者となった。日大山形と山形中央は、ここ5年間で3度目の決勝対決。7-0で日大山形が勝利し、2年ぶり13度目の優勝を決めた。酒田南の敗退で、今夏甲子園に出場したみちのく勢のうち花巻東(岩手)東北(宮城)明桜(秋田)4校の来春センバツ出場が絶望的となった。

 背番号2のエース後藤雅は、最後の打者を中飛に打ち取ると、笑顔でマウンドを駆け降りた。「最後は重圧から解放された感じでした」と満面の笑みを浮かべた。冷静さも光った。7回無死一塁、走者のリードが大きくなったのを見逃さず、けん制で刺した。8回の1失点後は後続を決め球のスライダーで打ち取った。

 新チーム結成後、肩の強さを買われ、捕手から投手に転向した。当初、持ち球は直球だけ。マウンドさばきもぎこちなかった。そんな、投手として赤子のような後藤雅を救ったのは仲間だった。背番号1の伊藤凌投手にはスライダーを、高橋孝明遊撃手(ともに2年)には、長い間合いを取ってからのけん制球を学んだ。

 7年間の捕手の経験も実になっている。打者の構えや立ち位置から、狙いを瞬時に察知し、裏をかく投球でかわす。後藤雅は「投げてても、捕手としての勘が働きます」と照れ笑い。

 投手転向2カ月にして県大会全試合に先発。増井文夫監督(43)は「実質的にエースです」と評価する。「東北大会ではミスを減らしてセンバツを狙います」と後藤雅。青森でも背番号2が躍動する。【湯浅知彦】