<高校野球秋季東海大会:静岡商8-7東邦>◇21日◇2回戦◇愛知・岡崎市民球場

 静岡商(静岡2位)は加藤文也(2年)の勝ち越し三塁打などで1回戦に続き4点差を逆転し、東邦(愛知1位)を撃破した。準決勝は26日に行われ、三重(三重1位)と対戦する。

 静岡商が、また強くなった。3-2で迎えた7回に先発の牧野孝亮(こうすけ)投手(2年)がつかまり、5失点。19日のいなべ総合学園(三重3位)戦に続き、4点ビハインドとなった。しかも、1回に0-4だった前回に対し、この日は残り2イニングしかない。それでも、愛知県大会で6試合51得点の東邦打線に打ち勝った。主将の小堺祐司(2年)は「この間の経験が大きい」と、逆境を再びはねのけたチームに自信をのぞかせた。

 逆転された直後の8回に証明した。無死一、二塁から6番加藤の2点適時三塁打と8番戸田翼(1年)のスクイズ(記録は犠打野選)で1点差。小堺の犠飛であっさり追いついた。

 同点の9回も押し切った。無死一塁で、4番国松歩(あと=2年)が打席へ。この試合チーム6犠打・犠飛ながらバントの指示は出ない。フルスイングした打球は左翼フェンス手前でアウト。河合優内野手(2年)も三邪飛に終わった。

 途切れかけた流れを加藤が引き戻した。「自分がかえそうと思った。長打しかない」。フルカウントから7球目の直球を右中間深くへ運んだ。この日3安打4打点目となる勝ち越しの適時三塁打。1回戦の4打数3安打1打点に続く大暴れだ。送球難で県大会から外野手に移った元内野手は「自分はバッティングしかないので、めっちゃうれしい」。存在意義を示しての勝利に、胸を張った。

 この日が45歳の誕生日だった大代茂雄監督は、劇的な試合の連続に開口一番「疲れました」。だが、表情は明るい。9回の強攻策は「弱気でいったら勝てない」と説明。その期待に応えた加藤を「よく打ってくれた」とたたえた。

 急成長を続けるチームは、ついにあと1勝で39年ぶりのセンバツが当確となる。加藤は「全力でやるしかない」と無心で臨む覚悟だ。春の甲子園にふさわしいチームかどうか、次の三重戦で答えが出る。【石原正二郎】