<センバツ高校野球:倉敷工11-10金光大阪>◇21日◇1回戦(前文は該当部分を使用)

 第81回選抜高校野球大会が21日、“誤審騒動”で開幕した。開幕カードでは、倉敷工(岡山)が延長12回11-10と金光大阪を破った。騒動を帳消しにする史上初の「開幕戦延長逆転サヨナラ勝ち」だった。

 落球しているのになんでアウトなんだ?

 リニューアル甲子園の幕開けは、いきなり大会本部に抗議電話が届く事態になってしまった。金光大阪対倉敷工の9回裏、明らかに落球したタッチプレーがアウトと判定され、この時点のサヨナラ勝ちが消された。

 倉敷工が3点を奪って同点に追いつき、なおも続いた1死三塁の場面だった。倉敷工がスクイズを仕掛ける。この打球を投手木場がマウンドを駆けおり、捕手中島にトスした。中島が突っ込んできた走者山形にタッチしようとしたとき、ミットから球がこぼれた。

 ところが、橘公政球審の判定はアウトだった。倉敷工・中山隆幸監督(48)の指示を受けた山形が落球を訴えても、受け入れられない。同監督は「球審から落としていないという回答があったので、分かりましたということです」とアウト判定を振り返った。

 センターからのカメラはこの落球をしっかりとらえていた。捕手中島は「タッチしたけど、そのあと、どのタイミングで(球が)出たか出ないか分からない」と話した。試合後、判定について桂等審判幹事が対応した。「審判はアウトが完了したあとの落球と裁定した。落球を確認した上でアウトにしました」と説明した。倉敷工への回答との食い違いを指摘されると「それは聞いていないので。ただ、言葉が足らなかったかもしれません」。そしてこう付け加えた。「場内に説明があってもよかった」。

 延長12回、倉敷工がサヨナラ勝ちして判定が勝敗を変えることはなかった。抗議電話もすぐ収まったが、新装された晴れ舞台にはあってほしくない判定になってしまった。【米谷輝昭】