<全国高校野球選手権:報徳学園13-5佐賀学園>◇17日◇3回戦

 大西、田村を助けたい-。投手を援護する思いが、報徳学園(兵庫)夏最強の攻撃を生んだ。先発全員で1回以外は毎回の20安打。13得点は同校夏最多の圧勝だ。

 1点を追う3回1死一、三塁で、2番谷康士朗(3年)が左前に同点打。さらに4番越井勇樹(2年)の三塁線への打球が内野安打になり逆転した。3安打3打点の2番打者は「普段なら犠打で送る役目が多いですから。3打点なんてまずありません」と笑い、越井は「ここまで打点がなかったから」とはにかんだ。

 佐賀大会から全7試合完投の相手エース峰下攻略に、永田裕治監督(47)は綿密な作戦を練った。チェンジアップ狙いとストレート狙いに打撃陣を分け、チェンジアップを狙う場合は打席内で投手寄りに立たせた。積極的な足攻めも指示。意図に応えることが出来たのも、普段の豊富な練習があればこそだ。

 谷は兵庫大会中も試合後はグラウンドに戻り、新チームにまじってノックを受けた。越井は兵庫決勝の前日、ティー打撃を5時間敢行。両手のひらに血マメを作り、テーピングを巻いて翌日先制打を放った。6回から3安打の7番浦崎裕理(3年)は今も宿舎で監督があきれるほどスイングを続ける。「ただグラウンドに戻りたい一心でこの子らはやっているんです」と語った永田監督は誇らしげだった。ドラフト候補はいなくてもひたむきさで一つになり、近畿のとりでを守った。【堀まどか】