攻撃型2番で今年もヤクルト打線は脅威だ。昨年は主に3番を務めた川端慎吾内野手(27)が、チャンスメークに得点源にフル回転し、巨人戦2連勝に貢献した。4回は先頭で三遊間を破り逆転のお膳立て。7回は2死一、三塁から一、二塁間を破って貴重な追加点を奪った。2番に入っても注文はない。自分の意識も昨年と同じだ。「状況は変わるので、それに対応する打撃をするだけです」と心得ている。この2打席が好例だ。

 真中監督の狙いもズバリ強打者の適用だった。「山田はいいバッターなので2番で切りたくない。今日が典型的なパターン。続けていきたい」という。山田、川端、バレンティン、雄平、畠山と続けば右左のジグザグとなり、相手の継投策をけん制する意味もあるが、主はあくまで川端の有効活用だ。

 昨年は3割打者5人。チーム打率2割7分9厘はリーグ1で、667得点は両リーグ1だった強打線がさらに威力を増す。杉村チーフ打撃コーチは「攻撃型だね。山田が歩かせられなくなる。大量点が狙いだ」と説明した。

 川端の状態も上向きだ。左脇腹を痛めてキャンプ第3クールは別メニューだったが、無理を回避し軽症に抑えた。前日2月28日からは杉村コーチとのティー打撃も再開し、この日のフリーでは快音を連発した。4回の亀井のゴロも横っ跳びして好捕。「きのうはフライしかなく不安だったけど(脇腹は)大丈夫そうですね」と表情も晴れた。ヤクルトは、新型2番で下克上を目指す。【矢後洋一】

 ◆ヤクルトの先発2番打者 昨年は10人起用。上田の56試合が最も多く、次いで比屋根26試合、森岡24試合の順だったが、この3人はいずれも2番で低打率。2番打者の打率は10人合わせて2割3分5厘しかなかった。昨年のヤクルトはリーグトップのチーム打率2割7分9厘を記録したが、先発打順別の打率を出すと、9番の1割4分4厘に次いで2番の2割3分5厘が低かった。