日本ハムが、ヤクルトの主力商品さながらの「ミルミル」戦法で粉砕した。相手投手陣から9四球を選び、逆転し、効果的に追加点を重ねた。快勝の伏線にした。今季は計182四球に到達。この日時点で1試合平均3・87個は両リーグトップで、昨季平均3・14から大幅な伸びだ。個々が厳しいコースを「ミルミル」で見極める高い意識による抜群の選球眼が、快調な攻撃力のスパイス。12球団一番乗りでチーム200得点を超えた。

 好調のバットは、振らずに歩いた。9回1死二塁。9試合連続安打の西川遥輝内野手(23)は、切れ長の目を見開き、一塁を勝ち取った。打線全体で、この日9個目の四球。栗山英樹監督(54)は「自分たちができることをしっかりとやって、自分たちに流れを持ってきた。みんなで点を取れて(交流戦を)スタートできたのはよかった」。両軍2桁安打の乱打戦で勝敗を分けたのは、ヤクルトを相手にした「ミルミル」作戦だった。

 相手と対戦経験の少ない交流戦、ミーティングでは積極的にいくことを確認していた。それでも、選手達にはつなぎの意識が定着。ファーストストライクから打ちにいく一方で、2ストライクに追い込まれてから選んだ四球が6個もあった。3四球1安打と「ミルミル」作戦に貢献した杉谷は「塁に出ないと始まらないので。必死に集中してやっています」。意識の高さを物語っていた。

 ここまで47試合を消化し、チーム四球数は182個。チーム打率は2割5分6厘とリーグ4位にもかかわらず、12球団トップの200得点超えと、四球が貴重な得点源になっている。象徴的なのは6回。中島がフルカウントから4球ファウルで粘って四球を選ぶと、1死後、中田にダメ押しの3ランが飛び出した。

 21日の楽天戦で5時間37分の今季最長試合を戦ったばかりだが、日本ハムの「タフマン」たちは、この日も4時間ジャストの熱戦を制した。スタンドからの声援を受けながらクラブハウスまで歩を進めた栗山監督は「明日(27日)からも落ち着いてできる。いいゲームだったと思う」。交流戦初戦でヤクルトを飲み干し、まずは快“腸”なスタートを切った。【本間翼】