驚異の粘り腰だ。中日がセ・リーグ再開初戦で首位巨人に打ち勝った。1-4の劣勢から8、9回に4点奪って逆転。1度は追いつかれて延長に入ったが、5-5の10回に平田良介外野手(27)がトドメの決勝6号3ランをぶち込んだ。これで4位ながら巨人とは2・5ゲーム差! 相手のお株を奪う「リ・スタート」を劇的に決めてみせた。

 オレンジに染まった場内を静まり返らせた。G党には平田が振り抜くオレンジ色のバットがさぞ憎たらしく映ったことだろう。

 飛球が右翼ポール際に吸い込まれるのを確認した背番号6は、一塁ベースを回ったところで右手を突き上げ、跳びはねた。三塁ベンチでは谷繁兼任監督もガッツポーズ。8-5。乱戦に力強く終止符を打った。

 「すごくうれしいです。たぶん入ると思いました。いいところで打ててよかった。これでチームも乗っていけたらいいですね」

 1死から左腕戸根を攻めて代打藤井、亀沢が連打。ここで巨人は宮国にスイッチ。3番平田は狙っていた。代わりばなの初球。外のスライダーにバットを合わせ、歓喜の弾道を生み出した。ベンチを出る際に大先輩の小笠原から「決めてくださいよ」となぜか敬語で言われていたという。

 左腕エース大野を立てて必勝を期したリーグ再開初戦。0-1から6回にルナの適時二塁打で同点。だが大野が7回に崩れて1-4。敗色濃厚となったが心は折れなかった。8回に和田の適時打と捕逸で2点。そして9回は無死一、三塁からルナの併殺の間に同点。エルナンデスの右前打で勝ち越した。又吉がその裏に追いつかれたが、反撃の手はゆるめなかった。

 殊勲の平田にとっては復調を告げる一打になった。交流戦最後の楽天戦は12打数1安打と調子を落としていた。17、18日にナゴヤドームを訪れた土井正博特別コーチのチェックを受け、フォームの修正に励んでいた。6回には左翼への二塁打で同点のホームを踏んだ。6試合ぶりの3安打で、打線の軸に舞い戻った。

 谷繁兼任監督は「平田が一振りで決めてくれましたね」と喜んだ。さあ、リスタート。平田は「0・5差まで詰めたいです」と3連勝を高らかに誓った。