ソフトバンク帆足和幸投手(35)が今季初先発で、初勝利を飾った。テンポのよい投球で6回を2失点。背番号「47」の左腕がソフトバンク通算800勝の記念星をもたらした。工藤ホークスの勢いは止まらず、3連勝で2位西武に最大4・5ゲーム差をつけた。

 ベテラン左腕が首位快走の流れに乗った。初回に打者3人を9球で抑えると、小気味のいい投球が光った。4回にペーニャにソロ本塁打を浴びるなど2点を許したが、打線の援護を守った。6回まで18アウトのうち、内野ゴロは13個。持ち味の打たせて取る投球術で、帆足が今季初先発を初勝利で飾った。「やってきたことが出たかな。打線が点を先に取ってくれて、ストライク先行でドンドンいけた」。球数86球で余力を残し、リリーフ陣にバトンを渡した。

 分厚い選手層に阻まれ、開幕から2軍生活が続いた。それでも腐らずに、ブルペンでは黙々と投げこんだ。後輩たちを陽気にイジり、時にはムードメーカーになった。摂津、大隣の両輪が離脱し、巡ってきたチャンス。1軍に合流した26日にブルペン入り。工藤監督からこんなアドバイスをもらった。「低めに投げるといっても、直球が高ければ、変化球は見極められる。低めばかりでは、打者の目線が下がる。1度、高めに上げて、低めに投げるとゴロを打たせられる」。高低の投球術を伝授され、本領を発揮した。

 指揮官は憧れの左腕だった。10年に西武復帰が決まり、1年だけチームメートになった。「その時はとても話せなかった」と帆足は振り返る。再び同じユニホームに袖を通し、背番号「47」の元祖がベンチから見守っていた。「同じ背番号をもらったのはうれしいことだった。勝って、ホッとしている」と表情を崩した。

 今後は変則日程のため、中継ぎ待機で出番を待つことになる。工藤監督は言った。「同じ左のピッチャーとして、アドバイスしたいことがある。気づいたことがあるから」。35歳のベテランと言っても、指揮官からすれば、まだまだ伸びしろはある。

 顔ぶれは入れ替わっても、投手力は落ちない。リーグ戦再開から3カード連続の勝ち越しで、2位西武に最大4・5ゲーム差。貯金18は優勝した昨年と同じ数字だ。ソフトバンクにチーム名が変わってから通算800勝のメモリアル星には、チームの強さが詰まっていた。【田口真一郎】