ドラフト1位候補の明大・高山俊外野手(4年=日大三)が98試合目で通算127安打を放ち、リーグ最多安打記録に並んだ。早大・大竹耕太郎投手(2年=済々黌)から初回に中前打を放って王手をかけると、3回には左前へ流し打ち、2打席連続安打。明大OBでDeNA高田繁GM(70)の記録に48年ぶりに肩を並べた。明大は3-2で早大に連勝し勝ち点2を挙げ首位に立った。

 打ち出すと止まらない。1打席目に中前へはじき返すと2打席目は左前へ。高山が面白いようにバットをコントロールし、2打席連続安打で最多安打記録に並んだ。「入ったころはとても到達できる数字とは思えなかったので、すごくうれしいです」。今季5試合で10安打を放ち、ついに127安打に到達した。

 地域になじむために始めた野球で、大学野球の頂点へ上り詰めた。船橋中央シニアの掛川勉ゼネラルマネジャー(51)は「小6ですでにすごく体に近いところで打てていて驚きました」と最短距離でバットを出していたことを証言。「コーチ陣の中で『高山のポイントはいじるな』と決めたほど。体勢を崩されてもバットに当てるから空振りができなかった」。高山は打つ楽しさを覚えていった。

 日大三を経て、明大に入学した1年春。代打出場した東大戦で初打席初安打を放つといきなり20安打を積み上げた。善波達也監督(53)は「ひょっとしたら記録を超えられるかもしれないと思った」と振り返る。高山は人一倍しごかれた。ティー打撃で500球以上打たされることもざらだったが、その理由が分からなかった。「何でこんなつらい思いをしなきゃいけないのかと思っていました」。

 受動が能動に変わったのは2年生も後半に差し掛かったころ。「監督に『何でおれがお前に付き合うか分かるか? 記録を更新させるためだ』って言われたんです」。課された目標が明確になり、3年秋には史上最速で100安打を達成。3月からは毎日監督のスパイクを磨き、練習以外でも野球について考える時間を増やした。

 今季から、バットのグリップエンドの刻印を「128」から背番号の「1」へ変更した。「春は128にこだわりすぎてチームの結果が良くなかった。今、チームはいい流れできているので、その波に乗せてもらって神宮記録を目指したい」。同じく神宮球場を主戦場とする東都リーグの最多133安打(藤波行雄=中大)を目標に、まずは10月10日東大戦で128本目を打つ。【和田美保】

 ◆高山俊(たかやま・しゅん)1993年(平5)4月13日、千葉・船橋市生まれ。小学1年で野球を始め、船橋中央シニアでは遊撃手兼投手。七林中では陸上部に所属、200メートルで県大会4位。日大三では3年夏の甲子園で日本一、高校通算32本塁打。趣味は音楽鑑賞、好物は焼き肉。リーグ通算8本塁打。家族は両親、妹。181センチ、84キロ。右投げ左打ち。