ソフトバンクのキャプテン内川聖一外野手(33)が連夜の決勝打で、日本シリーズ進出に王手をかけた。「2015 SMBC日興証券 クライマックスシリーズ パ」ファイナルステージ第2戦は6回、内川の左越え2点適時二塁打など6安打の集中打で5点を勝ち越し。ロッテを下し、2連勝を飾った。これでアドバンテージの1勝を含め3勝とし、今日16日に勝つか引き分けると2年連続の日本シリーズ進出が決まる。

 試合を決めたのは、この日もキャプテンだった。1-1で迎えた6回2死一、二塁。内川が外角への変化球を打ち返し、左越え2点適時二塁打とした。二塁に到達すると、両手を握り、何度も雄たけびをあげた。「気分は最高。(4番は)ああいうところで回ってくる打順。なかなかヒットも出ず、チャンスも作れていなかったので、何とかしたかった」と振り返った。

 3回からロッテ古谷に無安打に抑えられ、チームには嫌なムードが漂いかけていた。だが、足の痛みを押して出場している柳田が、全力疾走で内野安打とした。後輩が必死のプレーでつくったチャンスに、奮起せずにはいられなかった。「柳田が足や首の状態がしんどい中でやってくれた。彼の後がしっかり打てば、彼も楽になる」と感謝の思いもあった。

 前日14日の第1戦では延長サヨナラ打を放った。仲間にもみくちゃにされ、右足のスパイクの革が破れるハプニングに見舞われた。翌日になっても“犯人”は謎のまま。内川は新しいスパイクを下ろさず、接着剤で革を張り付けて打席に立った。「足の形は日々変わるから、新品だと何か嫌。こうするしかなかった」。足元の感覚を大切にするプロとしての選択が、好結果を生んだ。

 CS開幕前。今季限りでの退団を表明した松中に自宅に呼ばれ、杯を交わした。「これからのホークスを頼んだぞ」。ホークスの歴史を築いてきた先人からのメッセージに、キャプテンとしてCSで負けるわけにはいかなかった。工藤監督も「キャプテンの一打で勇気をもらって、みんなが楽になった」と、連夜の決勝打に目を細めた。目標はあくまで日本一。内川は「あと1つ、絶対勝つ気持ちでやっていきたい」と、固く誓った。【福岡吉央】

 ▼第1戦でサヨナラ打の内川が6回に勝ち越し打。内川の勝利打点は11年ファイナルS第1戦、14年ファイナルS第6戦、15年ファイナルS第1戦に次いで4度目となり、昨年から3試合連続でマーク。プレーオフ、CSの勝利打点は和田(中日)の5度が最多で、4度は森野(中日)阿部(巨人)に並び2位タイ。同一シーズンに2試合連続勝利打点は82年第1戦、第2戦大田(西武)以来2人目のタイ記録で、シーズンをまたいで3試合連続勝利打点は内川が初めてだ。

 ▼ソフトバンクがアドバンテージの1勝を含め3勝0敗とし、シリーズ出場に王手をかけた。プレーオフ、CSのファイナルSで先に王手をかけた延べ27チームのうち24チームがシリーズに進出。今回のように無傷で王手をかけたケースは過去13チームすべて進出している。ソフトバンクは11年に4勝0敗でシリーズ出場を決めたが、今年はどうか。