ヤクルトは2日、今季セ・リーグ最多41セーブを挙げたトニー・バーネット投手(31)が、ポスティングシステムを利用して米大リーグ移籍を目指すと発表した。5日に日本野球機構(NPB)に申請予定。都内の球団事務所で会見を行った右腕は「夢に描いていたMLBでプレーするチャンスをもらえて感謝している」と熱い思いを吐露した。

 球団は7月中旬から残留交渉を続けてきたが、10月14日にバーネット側からメジャー挑戦の申し出があり、これを了承。NPB所属の外国人選手のポスティング移籍表明は、99年に広島からレッズ入りしたケサダら過去3人いる。だが米球界経験者が、復帰のために同制度を利用するのは初となる。異例の選択は、バーネットの「真心」だった。

 「6年間のスワローズへの感謝がある。ただサヨナラという形でフリーエージェント(FA)になるより、ポスティングで自分の道を決めていきたい」。1年契約の満了を待ち、FAでの海外挑戦も可能だった。だがポスティングなら、2000万ドル(約24億円)を上限に決められる譲渡金が、移籍先からヤクルトに入る。球団はこれを50万ドル(約6000万円)に設定。支払う意思のある全大リーグ球団と6日から30日間、交渉が可能となる。

 球団は交渉決裂や入札がなかった場合に備え、30日に提出する保留者名簿にバーネットの名を載せ、残留交渉を継続する。小川淳司シニアディレクター(58)は「移籍するならメジャー以外ない。折り合わなければヤクルト(に残る)、ということ」と説明。国内のライバル球団に移籍される心配はない。またバーネットにとっても、FAを待つより1カ月早く米市場に名乗りを上げることができるというメリットがある。

 小川SDはバーネットのおとこ気に「気持ちはありがたい」としつつ、「戦力的にはかなりダウンすることになる」。残留交渉と同時に、オンドルセクや新戦力の獲得も含め、新守護神候補の選定も進めていく。