広島菊池涼介内野手(25)が15日、マツダスタジアムを訪れ、来季への熱い思いを語った。日南秋季キャンプではシーズン中に痛めていた両膝の回復を優先。もどかしい思いを抱えながら、湯布院リハビリキャンプのため前日14日に一足先に打ち上げた。落選した「プレミア12」はテレビで観戦。来季完全回復してチームを引っ張り、日の丸復帰も目指す。

 広島菊池は我慢のときを過ごしている。日南キャンプでは本隊から離れ、トレーニングを積んだ。シーズン中に痛めた両膝の回復を優先するためだった。チームが実戦漬けの秋を送るなかで、孤独に汗を流した。そして前日14日までの第3クールでは特打をこなすまでに回復した。

 「日に日に良くはなっています。実戦をやりたい気持ちはあったけど、スライディングは出来ないしチームに迷惑が掛かる。実戦の動きだけはしなかった」

 今季はリーダーとして期待されながら、打率は2割5分4厘に低迷。膝の状態がすべてではないが、苦悩はあった。だからこそ回復を優先。「僕には形がない」と、キャンプで新しい取り組みもしなかった。体さえ万全なら、ある程度の自信はあった。

 「正直、今季は内角はさばけないし、外角を拾おうにも、膝に怖さがありました。しっかり治せれば、というのはあります。東出さんからも『打撃は大丈夫だと思うよ』と言っていただけた。第三者の意見は大切なので、自信にしたい」

 来季へ逆算もしている。年始の自主トレは例年通り静岡で久本らと行う。それまでは周辺の筋肉を鍛えるトレーニング。そして何より「怖さはある」と話す体を休ませることに重点を置く。春のキャンプでしっかり体を動かすための準備を重ねていく。

 「久本塾からは動きたい。兄貴が支配下になったし、またみんなで盛り上げていきたいので。でも靱帯(じんたい)なので、まずは休まないといけない。バス釣りでもします(笑い)。それは冗談ですけど、でも勇気も必要と言われているので。準備をしたい」

 もう1つ、菊池には先の目標がある。侍ジャパンへの返り咲きだ。小久保監督就任から代表に選ばれ続けてきたが、今回は膝の状態もあって落選した。「プレミア12」はテレビで観戦。同学年の中田らの活躍を見て、何も思わない方が不自然だろう。

 「いいチームで、強いですね。(中田)翔にも電話しました。『調子いいな、俺の指導のおかげだな』って(笑い)。僕はまずは来季、100%でプレーすることが最優先。だけどもちろん目標の1つにはあります」

 これまでオフは動き続けてきた。休みに重きを置くのは初めての経験だ。菊池はそれもプラスにとらえる。「これだけ自分の体と向き合ったことはない」。今はじっと耐える時。冬を越えて、大輪の花を咲かせる。【池本泰尚】

 ◆今季の菊池 5月3日のヤクルト戦(神宮)の1回に風張から頭部死球を受け、試合中に病院へ向かった。その後もジャンピングキャッチの打球処理で膝を強打するなど満身創痍(そうい)のシーズンだった。それでも2年連続全試合出場となる143試合に出場。19盗塁はチームトップだった。秋季練習から別メニューで調整していた。