「ミスタースワローズ」の仲間入りだ。ヤクルト山田哲人内野手(23)が8日、都内の球団事務所で1億4000万円増の2億2000万円(金額は推定)で契約を更改。高卒野手が6年目で年俸2億円に到達するのはオリックス時代のイチロー(マーリンズ)、松井秀喜(巨人)に続き3人目。来季から背番号を「23」から「1」に変更することも決まった。大きな期待を背負い、前人未到の2度目のトリプルスリーを目指す。

 トリプルスリーとリーグ優勝を達成した山田に、球団が最大級の「おもてなし」だ。契約更改の会見場。球団広報の「それではどうぞ」の声に反応して扉を見ると、憧れのマリナーズ青木宣親外野手(33)が立っていた。やや疲れを見せていた山田の頬が、一気に紅潮した。「めっちゃびっくりした。青木さんやん…」と、言葉を詰まらせた。

 ヤクルトで11年まで「1番」を付けていた青木から、新しいユニホームを手渡された。「過去最大のサプライズかもしれませんね」と満面に笑みを浮かべた。そして「自分が付けたかった番号。偉大な方が付けていた番号でもある。プレッシャーに負けないように頑張りたい」と誓った。青木は「(衣笠)社長から『背番号1は、君の方から渡してくれ』と言われて。2日前に帰国して、今日軽井沢から来ましたよ」と、かわいい後輩のためにひと肌脱いだ。

 年俸も、背番号に見合うだけの大幅アップだった。8000万円から1億4000万円増の2億2000万円。プロ6年目となる来季を、2億円プレーヤーとして迎える。イチロー、松井に続くスピード到達に「その2人のイメージは最強です。プロ野球を代表する偉大な方なので」と恐縮しつつも、「気持ちよくサインしました。無駄遣いしないようにします」と、笑いが止まらなかった。

 サプライズは青木の登場と年俸だけではなかった。この日神宮クラブハウスに到着した山田は、球団側が用意した車で球団事務所に入った。約600メートルの距離。他の選手はみな徒歩で向かう中、VIP級の扱いを受けた。まさに球界の顔に飛躍した証しだった。「想像もしていなかった、あり得ないほどの数字を残せて満足」と笑顔で振り返った。

 来季、山田は期待を一身に背負う覚悟だ。「チームが優勝して、日本一になりたい。トリプルスリーを過去に2度達成した人はいない。自分が初めてできるように頑張る」と、堂々と言ってのけた。【栗田尚樹】

 ▼山田が年俸2億2000万円で契約更改。高卒6年目までの2億円到達は大谷(日本ハム=4年目)以来8人目。野手ではイチロー(オリックス=5年目)松井(巨人=6年目)に次いで3人目で、内野手としては初めて。これまで内野手では小笠原(日本ハム)村田(横浜)本多(ソフトバンク)の7年目が最速だった。