若虎に「21球魂」を注入!! 阪神の2軍安芸春季キャンプで臨時コーチを務めるOBの江夏豊氏(67=野球解説者)が「特別講演」を行うことが21日までに正式に決まった。通算206勝193セーブの伝説的左腕に期待されるのは精神面の強化。広島時代の79年日本シリーズは絶体絶命のピンチ脱出劇が語り草になった。大勝負での心の持ちようなどを若虎に授ける。掛布2軍体制も「超変革」しまっせ!!

 阪神2軍の若虎が、あの伝説に触れる。久しく若手の台頭が望まれるなか、2月の安芸キャンプで江夏氏が臨時コーチに就任。6日から始まる第2クールでグラウンドに立つが、安芸市内のチーム宿舎でも特別講演を行うことが決まった。若手の野球に対する姿勢や勝負に臨む心構えなど、精神的なヒントを授ける狙いがある。球団首脳は「技術指導は担当のコーチもおられるからとおっしゃっていた。気持ちの部分はとても大切だから」と説明した。

 江夏氏は阪神のエース左腕として一時代を築いた。昨年2月にはOBとして、沖縄・宜野座で行われる1軍キャンプで指導。40年ぶりに阪神の現場に復帰していた。今年は盟友の掛布雅之氏が2軍監督に就任し、タッグを組んでチームスローガンの「超変革」を推し進める。若手にとってはレジェンドの勝負勘に触れる、またとない機会だ。

 昨年2月は沖縄でも講演を行い、好評を博した。バッテリーが全員参加し、用いた教材は「江夏の21球」。窮地に立たされたときの心構えを問われ、例として出したのが広島時代の79年日本シリーズだ。4-3と近鉄をリードした9回裏に登板。無死満塁のピンチを招いたが、1番石渡のスクイズを外角高めの変化球で外して三塁走者藤瀬を三本間でアウトにするなど、無失点に抑えた。日本一に導く投球をこう回想した。

 「ピンチのときには開き直るな。『開き直る』ということは『なれ合う』ということ。『抑える』『やれる』という気持ちでなければいけない」

 現実から目を背けず、真正面から立ち向かって対処した。リアルな言葉は2軍ナインにとっても財産になるだろう。江夏氏はこれまでも伸び悩む秋山らに興味を示してきた。人の成功から学ぶことは多い。レジェンドは重みのあるひと言で若虎をそっと後押しする。