正妻争いの1次試験は、不合格だった。今季から捕手に再挑戦している西武森友哉捕手(20)が14日、今キャンプ初の紅白戦に「3番捕手」で先発出場した。昨年3月6日のオープン戦(対阪神)以来、345日ぶりの実戦マスクで4回7失点。バント処理での失策に加え、2盗塁を許すなど精彩を欠いた。「久しぶりだったけど、ちょっとねぇ…。まだまだだと実感した」。得意の打撃も3打数無安打1三振に終わり、元気がなかった。

 突然の「難問」をクリアできなかった。3回まで先発の高橋光を無安打4三振と好リードし、迎えた4回だった。先頭斉藤の左翼への飛球が、10メートル以上の強風に乗ってスタンドイン。続く浅村を二塁失策で出すと、一気に崩れた。ワンバウンドの球を体で止めたが、大きくはじいて進塁を許した(記録は暴投)。無死一、二塁からのバント処理では、高橋光と“お見合い”。「2人とも声を出したけど、譲り合ってしまった」。すぐに実戦感覚は戻らず、連係不足を露呈した。

 1つのアウトが遠かった。なおも無死満塁で、強風にあおられた捕飛の目測を誤ってファウルとなった直後に2点適時打を浴びた。盗塁も2つ許した。「配球が単調になってしまった」と、ボールを完全に見極められた。1イニング7失点。田辺監督は「不運な部分もあったが、準備が足りていなかった」。5回から指名打者に代わり、“追試”が決まった。

 課題はすべて出た。「風は球場によって強いことはある。うまくいかない難しいポジションです」と、言い訳はしなかった。自己採点は「3回までは良かったので、50点くらい」。苦い経験を糧に、森が「打てる捕手」への道を歩んでいく。【鹿野雄太】