山形のファンに、メモリアルなアーチを届ける。巨人坂本勇人内野手(27)が、「10年打法」+「ゴジラの教え」で今日17日のDeNA戦で8年連続の2ケタアーチを目指す。16日、山形に移動し「荘内銀行・日新製薬スタジアムやまがた」での全体練習に参加。フリー打撃で快音を響かせた主将は「(山形は)何年かに1回しか来られないので、ファンの方に喜んでもらえるプレーがしたいです」と力強く誓った。

 10年に記録した自己ベストのシーズン31発を超える、33本ペースで本塁打を量産する。好調を支えるのは新フォームだった。きっかけは動画サイト「YouTube」のホームラン集。10年の映像を見た時に「こんなに右(軸足)に体重を乗せてたんや」と驚いた。2月の宮崎キャンプ、松井秀喜臨時コーチからの助言は「軸足に体重を残して打つこと」。ゴジラ流に、ミートポイントは前めの勇人流を融合させた。

 打率もリーグトップだが、新フォームの破壊力は数字が雄弁に語る。昨季の12本塁打の平均は推定112・5メートルだったが、今季は推定118・3メートルに進化。7日の中日戦(東京ドーム)では推定145メートルの特大弾を放った。高橋監督も、11日の阪神戦で放った中堅バックスクリーン左への1発に「打球にひと伸びある。なかなか、甲子園であそこまでは飛ばないよ」と絶賛した。

 幾多の野球人がメモリアルを刻んだ地で、節目を飾る。同球場は、過去に村田兆治(ロッテ)が通算200勝を達成し、松井氏が星稜時代に高校通算60本目を放った場所。坂本も13年に決勝の本塁打を放ち、菅野とともにお立ち台に上がった。昨季は地方球場で打率4割1分7厘、2本塁打、10打点と大活躍。記録にも、記憶にも残る一打で勝利に貢献する。【久保賢吾】