日本ハムが「師弟コンビ」の活躍で楽天6回戦(札幌ドーム)に快勝。貯金を今季最多の3に増やした。二遊間を組む2番中島卓也内野手(25)、3番田中賢介内野手(35)の2人で3安打3打点。19日ソフトバンク戦(ヤフオクドーム)は3本塁打で競り勝つなど、前カードは空中戦が目立ったが、この日は「力」ではなく「技」が光る一打を集めて勝利した。

 動きがシンクロした。1点を追う3回2死三塁。中島が左翼線へ同点適時二塁打を放つと、続く田中賢も同じ場所に勝ち越しとなる打球を落とした。「タク(中島)と同じように打った方がいいのかなと。あっちの方向のほうが安打になるのかなと思った」。ネクストサークルから見た後輩の打撃を参考にした。5回にも中島が四球で出塁し、田中賢が適時二塁打。中島は「点につながったのはよかった」。2人で勝利を引き寄せた。

 中島の勇気から生まれた「師弟関係」だ。2011年、ほとんど会話を交わしたことがなかった田中賢に、「一緒に自主トレさせてください」と、いきなり弟子入り志願した。一瞬、面食らった先輩は「僕が二十歳だったら、話をしたことがないレギュラーにそんなこと言えないと思う」。気持ちに応えようと、合同自主トレを了承。4年後となる昨年から、念願だった二遊間を組むようになった。

 前日20日は田中賢の35歳のバースデー。誕生会には、家族のほかに中島の姿もあった。9学年違うが、一緒に過ごす時間は長い。田中賢は「(自分が)タクのときに稲葉さんくらい。けっこういい年齢ですよね」。師であるために胸に宿す、行動、プレー、責任感を、自虐ネタに隠した。

 前カード、首位ソフトバンクとの3連戦は、両軍合計10本塁打が飛び出す空中戦を制して勝ち越した。「力」の次は「技」の勝利。貯金を今季最多の3に増やし、上位追撃態勢が整ってきた。田中賢は「勝つ形ができてきている。チーム状態は上がってきている。こういうときに大型連勝をやりたい」。ともにグラウンドに立ち、勝つ。それはもはや当たり前のこと。師弟の終着点は、もっと先にある。【本間翼】