ソフトバンク武田翔太投手(23)が、鮮やかなリベンジ勝利を飾った。東京ドームでのロッテ戦に先発し、7回2安打無失点で9勝目。千葉移転25周年を記念するロッテ主催の東京ドームでの一戦だったが、2週間前に同球場でのロッテ戦で炎上した武田が汚名返上の快投。打線も松田宣浩内野手(33)が7年ぶりの先頭打者アーチを放つなど援護し、チームは貯金29。今日13日も勝って、大台30での前半戦ターンを決めてみせる。

 後半戦もエース格としての期待を抱かせる投球だった。武田は本調子ではない中、7回2安打無失点。ハーラートップタイの9勝目を挙げた右腕は、秘めていた思いを言葉にした。

 「悔しさはありましたよ」。約2週間前だ。6月27日ロッテ戦。東京ドームの「鷹の祭典」で3回6安打6失点とメッタ打ちにされていた。リベンジの舞台。「めっちゃ暴れていた」という初回、いきなり先頭打者に四球を与えるなど不安定だった。しかし、崩れない。「全体的にズレていた。ブレが一番少ないのにしようと思った」と3回からセットポジションに修正。「借りを返せてよかった」。ロッテの祭典の舞台となった東京ドームで、今度は無得点に抑え込んだ。

 日本ハムが猛追する状況で、球宴明けのローテーション再編が首脳陣の間で検討されている。リーグ戦再開後から8月下旬までの週末に、日本ハムとロッテ戦が5カード連続で組まれている。正念場の夏。そこに武田を金曜日のカード頭で投入するプランがある。

 そのためにも、大きな1勝となった。途中からフォークを多投した。3年前に投げていた球で、最近また練習を始めていた。「まだどっちに落ちるかわからない。まだまだですけどね」と話すが、縦に落ちるカーブ、スライダーに続く球種があると印象づけたことは後半戦に生きてくる。

 常に先を見て、自分の引き出しを多くつくって来た武田が、上位陣との対戦が続く中でも昨季の13勝を超える投球でリーグ3連覇へ導く。【石橋隆雄】