悔しくなければ、何十年たっても変わらない! 阪神は広島黒田の引き立て役に回り、後半戦勝ちなしの5連敗を喫した。広島戦は9連敗で今季の負け越しが早くも決定。1番緒方、3番高山など組み替えた打線も機能せず、今季7度目の完封負け。金本監督は屈辱的なベンチ裏で、ナインの反発を呼びかけるしかなかった。

 カープの凱歌(がいか)が響くマツダスタジアムの三塁側スイングルームで、金本監督が怒りを押し殺した。打線が振るわず、難敵黒田に完敗。広島に9連敗を喫した。何を聞かれても険しい表情で淡々と話す指揮官は「同じチームに9連敗で選手も感じないと」と質問が飛ぶと、口調は強くなった。

 「当たり前やん。果たして、打席での姿を見とったら『悔しい』とか思ってるのかと思うね。覇気とか、向かっていく姿勢だとか、本当に伝わってくるものが…。ある選手もいるけど。こういう展開でも何とか、と食らいついていく姿勢が出てこないようだったら、このチームは何十年やっても変わらない。悔しいと思っているのか、本当にね。腹の底から」

 淡泊な攻撃を繰り返し、黒田の引き立て役を演じてしまった。1番に好調の緒方を抜てき。1回先頭で中前打を放ち、1死二塁としたが、後続が倒れた。2回も先頭鳥谷の出塁を生かせない。追い込まれると内角に食い込むツーシームで突かれ、外角ギリギリへの直球にバットは止まる。3回以降は老練な投球にひねられ、4度の見逃し三振など、7回無得点だ。

 黒田には日本球界復帰後の2年で10試合対戦して6勝を献上。片岡打撃コーチも「トリに限らず、チャンスで見逃し三振は、バットを振らないと何も起こらない。打つべき球を見逃し、ボール球に手を出すとああいう結果になる」と仏頂面。ファウルで粘り、球数を投げさせるなどいやらしさも示せなかった。

 流れを変えるためか、試合前、金本監督は普段と違う行動だった。打撃ケージ裏に陣取らず、現役時の定位置だった左翼で長時間、練習を見守っていた。就任1年目で「超変革」を唱え、若手を積極的に起用する。この日、送り出したラインアップは黒田に歯が立たず、後半戦はまだ白星を挙げられず5連敗。古巣に、進む道の険しさを思い知らされた。【酒井俊作】

 ▼阪神はオールスター明け初戦の18日巨人戦から5連敗。後半戦開始からでは、99年の7連敗に次ぎ球団ワースト2位となった。これで7月は4勝12敗となり、4カ月連続で月間負け越し。同一シーズンでは12年5~9月の5カ月連続以来4年ぶり(3、10月を除く)。

 ▼阪神は5月22日(甲子園)から、広島戦9連敗。88年の10連敗に次ぎ、このカードではワースト2位となった。マツダスタジアムでは6月24日から5連敗で、09年の同球場開場後では最長記録を更新。広島の本拠地での5連敗は旧広島市民球場での87年7連敗(5月20日~9月4日)以来、29年ぶり(記録はいずれも同一シーズン)。

 ▼阪神が相手投手に通算200勝達成を許したのは、54年6月5日の別所毅彦(巨人)、58年6月6日の金田正一(国鉄)以来、58年ぶり3度目。