ラストスパートの使者になる! 広島福井優也投手(28)が、1軍復帰登板となった巨人戦で7回5安打無失点の好投で2勝目を挙げた。5月8日DeNA戦(マツダスタジアム)以来の1軍登板も、立ち上がりから球の切れ、制球ともにさえ、前日3本塁打の巨人打線を黙らせた。早ければ明日30日にも優勝マジック「36」が点灯する。

 福井が巨人打線、菅野の前に立ちはだかった。速球が走り、スライダーは切れ、フォークは鋭く落ちた。走者を背負っても、制球も、心も乱れなかった。丁寧かつ大胆に投げ込んだ106球は、復調を印象づけるには十分な投球だった。

 今季は先発のリーダー。果たさなければいけない約束がある。開幕前、本隊が遠征中に広島に残った投手陣で食事へ行ったとき、黒田から言われた。「チームを引っ張るためには成績を残さないといけない」。だが、開幕から勝ち星が伸びず、5月9日にわずか1勝で2軍降格。不調での降格は2年ぶり。1軍のように先発登板2日後の休養はなく、練習も調整ではなく鍛錬の日々だった。

 一方、チームは首位を快走していた。「素直に応援できない自分もいた。でもチームが勝つことはうれしいですし、その輪の中に入りたい悔しさもあった」。自分自身と向き合った日々で、黒田の姿が教えてくれた。「黒田さんは本当に気持ちが強い。登板に向けた準備にしてもそうだし、試合でも心が乱れない。走者を出しても慌てないし、落ち着いている」。前半戦の自分は正反対。打たれれば焦り、審判の判定にいら立つこともあった。

 勝てないことで悪循環にはまった姿はもうない。自信を取り戻し、巨人のエース菅野に投げ勝った。今季、12球団で広島だけが知らない3連敗を阻止。再び2位巨人とのゲーム差を10に広げた。緒方監督は指名した後半戦のキーマンの好投に「彼自身にも、チームにとっても、この1勝は大きい」と手応えを口にした。マジックは早ければ30日に36が点灯する。「次もあれば、しっかり投げたい。次、しっかり結果を残さないと意味がない」。109日ぶりの2勝目にも浮かれない。頼れる右腕の復帰で、広島は25年ぶり頂点へ加速する。【前原淳】

 ▼広島が連敗を2で止めた。今季の広島は2連敗が9度あるが、すべて2連敗でストップ。12球団の今季3連敗以上の回数を出すと

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 両リーグで広島だけ3連敗がない。最近では03年阪神が98試合目に初の3連敗を喫した例があるが、広島の3連敗なしはどこまで続くか。2位巨人とは再び10ゲーム差に開き、広島は早ければ30日にも優勝マジックが点灯。29、30日の試合で広島○○、巨人●●を条件にM36が出る。