まだ明るい横浜の空に、阪神福留の力強い打球が舞った。初回だ。2死から3番鳥谷が四球で出塁し、4番福留に打順が巡ってきた。ファウルで粘って粘っての8球目。DeNAペトリックの内角直球を軸回転でつかまえた。きれいなフォロースイングから放たれた打球は、追い風に乗って、青く染まった右翼席に突き刺さった。
「チャンスをつないでいく意識で打席に入りました。何が来ても良いように、しっかりコンパクトに。結果が出てくれて良かった」
まさに打ち出の小づち状態だ。7月30日中日戦で史上最年長サイクル安打をマークするなどヒットを量産。この日も4回に左前打を放ち、今季24度目のマルチ安打をマーク。打率は3割2分6厘まで上昇。巨人坂本、ヤクルト山田、DeNA筒香に次いでリーグ4位に浮上した。
うれしいニュースが届いたのは、この日の未明だ。東京五輪での野球・ソフトボールの競技復活が正式決定された。この話題に自然と笑顔が出た。
「すごく大きなことだと思う。野球だけでなくソフトもね。野球をやっている人が全て出られるかというとそうじゃない。限られた人しか経験できない。(2度の五輪出場は)貴重な経験になった。(自身3度目は)無理だよ!」
鹿児島の実家には五輪で獲得した2つのメダルが誇らしげに飾られている。96年アトランタでは銀メダル、04年アテネでも銅メダル獲得に貢献。日の丸の重みを知る男は、その意義を理解している。球界の発展につながる出来事がうれしかった。
「長期ロード」に突入しても安定感ある打撃でバットでチームを鼓舞する。「最後まで諦めないというのがチーム全体に出てきた。でも1試合、2試合で終わらないようにしないと」。上位浮上を狙うチームにとって、残りの1試合1試合が重要。反発力の出てきたチームの中心には夏バテ知らずの福留がいる。【桝井聡】



