妻に届けた1勝で最下位脱出に導いた。西武菊池雄星投手(25)が右脇腹痛からの復帰マウンドで6回を4安打2失点。チームの連敗を4で止め、自身初の5連勝で6月7日巨人戦以来の7勝目を挙げた。「(初回は)久しぶりでスムーズに入れなかったですが、点を取ってもらったので、のびのびと投げられました」と打線の援護に感謝した。

 戦列を離れた翌日の6月24日にフリーキャスターの深津瑠美さんと結婚。負傷中だったが、彼女の誕生日に婚姻届を提出する約束を貫いた。戦列を離れていた約1カ月半は「思った以上にケガが長引いて、悔しさとか、もどかしさとか、申し訳なさとか、いろいろな思いがあった」という。それでも「食事も栄養学とかを勉強しながら用意してくれる。今まで以上に野球に集中できる環境になりました」。リハビリを陰からサポートしてくれる妻の姿が大きな支えとなった。

 仙台への出発前にかけられた言葉は「行ってらっしゃい、くらいですよ」と素っ気なく話したが、感謝の思いも86球に込めた。伴侶を得ての初勝利。やるべき仕事は変わらない。「チームのために投げるだけです」と口元を引き締めた。

 田辺監督は「初回は硬くなっていたようだけどね。ひと安心。心強い投手が帰ってきてくれた」と左腕の復帰を喜んだ。菊池が「今年はどうしても、という思いがある」という初の2ケタ勝利まであと3勝。「次はもっと長いイニングを投げて、みんなに信頼される投手になりたい」。下位に沈むチームに、力強い柱が帰ってきた。【佐竹実】