あがり、一丁! すし男、日本ハムのブランドン・レアード内野手(29)が、豪快な39号本塁打でリーグ優勝を決めた。0-0で迎えた4回、西武菊池から左翼席に先制ソロ本塁打を放った。これが貴重な決勝点となる、値千金の1発となった。「すしポーズ」で人気の助っ人が、特上のネタでチームをVに導いた。

 優勝だ。レアードは、両腕を突き上げた。日本で初めて味わった、最高の瞬間。大谷、栗山監督らに飛びついてハグを繰り返した。「最高の日。とてもエキサイティングな試合だったよ」。

 大一番で「特上すし」を握った。白熱する投手戦。4回1死。均衡を破った。西武菊池のスライダー128キロに、無心で食らいついた。歓喜への放物線だった。「どんな形でも1点になれば」。優勝直前で打撃は沈黙。献身的な思いが、4試合14打席ぶり安打として、極上の1発につながった。三塁を走り過ぎるときには、恒例のパフォーマンス「すしポーズ」を大盤振る舞いした。

 海を渡り、たくましく突き進んできた。14年オフに米ナショナルズ傘下3Aから加入。同期入団は、圧倒的実績を持つハーミッダだった。ハーミッダのメジャー通算632試合65本塁打に対し、通算3年で53試合6本塁打。「脇役」として、異国でプロ人生を再スタートさせた。

 力強い打撃を、着実に開花させていった。来日1年目は外角球に手が出ず、勝負どころでの三振が目立った。一方で魅力のフルスイングで34本塁打。大きな仲間の存在が背景にある。「練習量と日本人の野球に対する情熱は強い」。遠征先のホテルにあるスイングルームには、度肝を抜かれた。「アメリカでは考えられない、試合後に素振りをするなんて」。アンビリーバブルな日本人に負けじと、優勝の立役者になった。「一生忘れられない日になったよ」。ブルーの瞳の助っ人が、歓喜に浸った。【田中彩友美】