掛布2軍監督秘蔵っ子が、ついにベールを脱ぐ。今日29日に甲子園球場で行われる阪神1軍練習にプロ2年目の植田海内野手(20)が初合流する。2軍では遊撃を守り、盗塁成功率は100%という「スペシャリスト」。虎の超変革元年の締めくくりとなる今季ラスト2試合で、自慢の足をアピールする。

 念願の1軍切符をつかんだ。鳴尾浜でオリックスとの練習試合後、植田の表情が晴れ渡った。

 植田 (盗塁は)シーズン序盤に比べたら走れるようになっています。機会があればどんどん走りたい。

 1軍は明日30日からの巨人2連戦で今季を終える。このタイミングでの1軍昇格。秘蔵っ子を送り出す掛布2軍監督が、その意図を説明した。

 掛布2軍監督 (売りは)足と守りだよね。特に足。守りも上達してきたし、期待されているのは「走る」「守る」じゃないか。

 走力が大きな武器だ。今季、植田はウエスタン・リーグで12盗塁を記録。だが、その数字の裏に注目すべき点がある。盗塁企図数も12。つまり、失敗なしの全成功。本人によれば、高校時代50~60度仕掛けた盗塁の失敗も、1度だけ。高卒2年目の若虎は、さらに磨きをかけていた。

 守備では遊撃を守り、グラブさばきにも定評がある。今季は右打ちからスイッチヒッターに転向。それも走力を生かすため。2軍で76試合出場し、打率1割6分8厘だが、それでも昇格させるだけの足があるというわけだ。7月下旬に掛布2軍監督が金本監督と会談した際、植田を推薦したこともあったほど。特に1軍は今季のチーム盗塁数がリーグ最少の59。金本監督も以前から「スペシャリストが欲しい」と嘆いただけに、来季優勝に向けて試しておきたい選手だろう。

 超変革をスローガンに今季は9選手が1軍初出場を果たした。昨季まで鳴尾浜の遊撃でともに汗を流した北條は、鳥谷が守り続けた遊撃の座をつかみつつある。内に秘めるものもあるに違いない。

 植田 いいところを出せるようにやっていきたい。来年が勝負になってくるんでやるべきことをやりたい。

 20歳の若虎。超変革の締めくくりとして、1軍舞台に立つ。【山川智之】

<植田海(うえだ・かい)アラカルト>

 ◆生まれ 1996年(平8)4月19日、滋賀県生まれ。

 ◆サイズ 175センチ、70キロ。

 ◆野球歴 小学2年時に甲南第二スポーツ少年団で野球を始め、遊撃手、投手。甲南中では湖南ビッグボーイズに所属し、遊撃手。高校は日本航空に入学し、一身上の都合で1年生の2月で自主退学。近江に転校し、3年夏は甲子園で3回戦進出。14年ドラフト5位で阪神入団。

 ◆1年目 2軍開幕戦は9番遊撃でフル出場。腰痛もあり2軍戦51試合出場にとどまる。打率2割、1本塁打、5打点、6盗塁。秋季キャンプで金本監督の目にとまり1軍に合流、両打ちを打診される。

 ◆2年目 両打ちに本格的に挑戦。今季はウエスタン・リーグで76試合、打率1割6分8厘、12盗塁。