超変革元年の最後の戦いが、逆襲の2年目への始まりだ。阪神が16年シーズンの戦いを終えた。今季最終戦は超変革のシンボルとなった若虎が躍動し、7連勝フィニッシュ。4位浮上で締めた。64勝76敗3分けで就任1年目を終えた金本知憲監督(48)は、志願してあいさつに立ち、来季巻き返しを誓った。

 試合後、金本監督がマイクの前に進み出た。第一声はざんげだった。「今シーズンは、私の監督としての力足りず、チームの低迷を招いてしまいました。本当に申し訳ありませんでした」。04年の岡田監督を最後に、阪神監督がシーズン最終戦で肉声を発することはなかった。だが、この日も4万人超が駆け付けたファンの熱さに感謝し、志願して頭を下げた。

 監督1年目は優勝争いに参加できず、借金12でチーム4年ぶりのBクラス。「正直しんどかった。思いもよらない出来事がいっぱいあった。予測不可能な、まさかまさかの連続だった」と明かした。ゴメス、鳥谷、藤浪らの大不振が響き、西岡も故障で離脱。マートンの代役ヘイグは戦力にならず、呉昇桓の代役マテオも不安定だった。守備のミスやバント失敗も重なり、交流戦から一気に急降下。「結果は全部僕の責任ですから」。潔く受け止めた。

 だが、屈辱はいやというほど胸に刻んだ。リベンジの炎は燃えたぎっていた。「この秋から若手、中堅とさらに鍛え上げて、来年は巻き返す年、見返す年にしたいと思います」。あいさつで力強く誓った。来季は「超変革」プラス「見返す」だ。「選手がその気持ちを一番持って欲しい。僕自身もそうでないと選手もその気持ちになれない」。勝負の2年目へ自ら鼓舞。高代ヘッド以下、ほぼ全員が留任見込みのスタッフで優勝を勝ち取る意気込みだ。

 希望を感じる終わり方もできた。最終戦は1番北條が3安打で打線を引っ張り6得点。ゴールデンルーキー高山も1シーズン乗り切って最後は3番を務め、育成からはい上がった原口も4番を張って二塁打で締めた。そして岩貞が10勝、新人望月もプロ初登板で快投。「理想的な試合」で今季初の7連勝、そして4位浮上フィニッシュだ。

 「北條、高山、原口。投手は青柳と岩貞。この5人には来年さらなる飛躍を期待したい。中谷も過去の実績からするとよくやった」。苦しい戦いの中で、最重要テーマの若手育成に芽吹いた若葉の数々。秋と冬の厳しい鍛錬で来季こそ大輪を咲かせる。打倒広島を目指し、オフなき2年目がスタートする。【松井清員】

 ▼金本知憲監督1年目の阪神は、9月19日巨人戦から7連勝でシーズンを締めくくった。7連勝は今季最長。阪神の新監督の7連勝は、04年岡田彰布監督の8連勝時(8月21日~29日)以来。

 ▼阪神監督就任年の7連勝以上は、36年石本秀一監督、46年藤村富美男監督、47年若林忠志監督、58年田中義雄監督、66年藤本定義監督、73年金田正泰監督、75年吉田義男監督、82年安藤統男監督、02年星野仙一監督、04年岡田彰布監督、16年金本知憲監督で11度目。最長は藤村監督の14連勝。(※監督は代理、代行を除く)