日本ハム大谷翔平投手(22)が「初戦集中」を宣言した。5日、札幌ドームで行われた紅白戦に登板し、1回3安打2失点で本番前最後の実戦登板を終えた。中6日で12日のクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ初戦の先発が内定している。二刀流の大谷には、2戦目以降も打者としての貢献が期待されるが、「まず1戦目」と“投”の刀に全力を注ぐ。

 ミットの音が、ベンチの声がよく通った。得点が入っても、シーン…。相手の顔を見れば、チームメート。大谷は「それ(シーズン)通りにやれというのは無理。気持ちも入ってないし、その中で(ガムシャラに)やってもいいことがないと思った。自分の確認したい点をやれればいいんじゃないかなと思いました」。投球フォームのバランスを崩さないようにだけ意識し、脱力の25球。1回3安打2失点でマウンドを降りた。

 最速も陽岱鋼に投じた初球の156キロ止まり。1死一、三塁でレアードに浴びた天井直撃打(適時内野安打)は、137キロの直球だった。「ホームランかなと思った」と、思わず苦笑い。3連打で2点を失う内容を振り返り、収穫を問われると「これで打線が打ってくれるんじゃないかと思います」と冗談を飛ばした。悲観的な空気は一切なかった。

 バックネット裏最前列で試合を見守った栗山監督は「いいも悪いも含めて、すべて生かしてやるしかない」と、本番を見据えた。中6日で、CSファイナルステージ初戦(札幌ドーム)の先発マウンドに向かうことになる。二刀流の大谷は2戦目以降も打者として期待される部分は大きいが、本人は「1戦目から気持ちを入れていければ。まず1戦目を取れるように、そこを目指して頑張りたいです」と、初戦に全精力を注ぐことを宣言した。

 投手3冠を獲得した昨年のCSは、ファーストステージ初戦を託され、3回途中5失点でKOされる屈辱を味わった。「(シーズン)1位で迎えるのは初めてなので、気持ちは違うと思う」と話すが、短期決戦の初戦を投げた経験と悔しさが、今回の登板の力にもなる。「ここまできたら技術うんぬんではなく、気持ちで持っていくものだと思う。いい投球よりも、勝てればいい」。下克上のロッテか、宿敵ソフトバンクか。どちらが来ても、1安打完封勝利で胴上げ投手となった大谷が立ちはだかる。【本間翼】