広島は7日、マツダスタジアム内でスカウト会議を行った。20日ドラフト会議に向け、1位指名候補を13人に絞り込んだ。競合となれば「神ってる」の生みの親・緒方孝市監督(47)の出番だ。ただ、今回セ・リーグ優勝チームは2位指名の入札順が最後尾となるため、競合を避けて単独指名狙いの選択肢もある。25年ぶり優勝で生まれた、思わぬ悩み…。当日までに戦略を煮詰めていく。

 ドラフトを2週間後に控えたスカウト会議でも、1位指名選手の絞り込みには至らなかった。指名候補選手は71人。そこから1位候補を13人に絞り込んだ。1時間30分を超える会議を終えた苑田スカウト統括部長は「1位指名については(ドラフト会議)前日に結論を出すことになる」と明かした。最後まで熟考を重ねることになりそうだ。

 1位指名候補には投手では創価大・田中正義を筆頭に、慶大・加藤拓也(ともに4年)東京ガス・山岡泰輔(21)花咲徳栄・高橋昂也(3年)のほか、野手では中京学院大・吉川尚輝内野手(4年)が入った。仮に競合となれば、今季「神ってる」という言葉を使ってリーグ制覇に導いた緒方監督が、抽選箱の前に立つことになりそうだ。

 一昨年、就任初のドラフト会議では早大・有原(日本ハム)を1位で競合。尾形担当スカウトに任せたものの、緒方監督も準備していた。1位で大商大・岡田の単独指名となった昨年も「体中の至る所にそういうアイテムを忍ばせていた」とうずいていた。

 ただ、優勝チームだからこそのハンディがある。今ドラフトは「頭を使わないといけないドラフトとなる」と球団首脳は頭を悩ませる。1位は同時入札だが、2位はパ・リーグ最下位のオリックスからウエーバー順。つまり、セ王者の広島は最下位指名となる24番目だ。

 希望入団枠制度に加え、高校生と大学生・社会人の分離ドラフト制度が撤廃された08年以降、初めての経験。的確なスカウト戦略で優勝に貢献した広島スカウト陣の腕の見せどころ。何より重要な1位指名で単独を狙うのか、それとも競合覚悟で指揮官の強運に託すのか。20日、運命のときまで頭をフル回転させる。【前原淳】