プレーバック日刊スポーツ! 過去の10月22日付紙面を振り返ります。2006年の4面(東京版)は日本ハム新庄剛志外野手が初打点、初安打、初死球も初白星だけならずと報じています。

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<日本シリーズ:中日4-2日本ハム>◇第1戦◇2006年10月21日◇ナゴヤドーム

 新庄が試合後は無言のまま、初めての日本シリーズ第1戦を終えた。初打点に初安打、初死球まで記録した。だが一瞬、手が届きそうだった「初白星」だけをつかみ損ねた。

 2点を追う3回。1点差としなお1死満塁の大チャンスで、2打席目が回った。カウント2-2からの6球目。川上の105キロカーブに詰まりながらも左翼へ運んだ。「川上が押してきて、押してきていたが、抜いた球をうまく犠飛にしてくれた」とヒルマン監督が絶賛する同点犠飛。静まり返ったナゴヤドームに、新庄の手拍子が聞こえるほど流れを一気に変えた。

 阪神で11年、日本ハムでの昨季までの2年間。1度も足を踏み入れたことがない大舞台。それでも、楽しんでいた。同点犠飛の直後に守備へ就く時にはスキップをするようにベンチを飛び出した。2回の初打席では左手甲をかすめる死球。だが一塁へ駆け出す時には笑っていた。ポリシーの「楽しむ」姿勢は正念場でも変わらなかった。6回の第3打席では右越え二塁打。慢性的な張りのある両太ももをフルに動かす全力疾走で二塁を陥れた。

 プレーオフ2戦で計13安打と湿りがちで、すべて単打だった日本ハム打線のこれが「ポストシーズン初長打」。チーム打撃に徹するからこそ生まれた右方向への一打に、ヒルマン監督は「評価できるいい内容だった」と、唯一の収穫に挙げた。

◆日米両シリーズに出場

 日本シリーズ初出場の新庄は、大リーグのジャイアンツ時代に02年のワールドシリーズ(対エンゼルス)に出場している。日米の両シリーズに出場した日本人選手は松井秀、田口、井口に次いで4人目。このうち井口だけが日米で優勝。田口はオリックス時代の96年に日本一になり、日本時間のきょう開幕するワールドシリーズで優勝すれば日米シリーズ制覇となる。また、中日アレックスはエンゼルス時代の02年にワールドシリーズで優勝しており、日本一で日米制覇を狙う。

※記録と表記は当時のもの