現役では最北地出身となるプロ野球選手は、1年目からの地元凱旋(がいせん)を誓う。日本ハムにドラフト8位で指名された新日鉄住金かずさマジック・玉井大翔投手(24=東農大北海道)が24日、千葉・君津市内で指名あいさつを受けた。故郷、佐呂間町は現役選手の出身地では最北。個人後援会設立へ動きだした町民らの期待を背に、カットボールを武器にプロに乗り込む。

 小学生の頃からあこがれだった地元チームに仲間入りする。玉井は緊張しながら指名あいさつに臨んだ。20日のドラフト会議では、なかなか名前が呼ばれなかった。不安から一転の歓喜。「今までお世話になった方に投げてる姿を早く見せたい」と、札幌ドームのマウンドに立つ自身の姿を思い描く。

 日本プロ野球界“NO・1北国”で生まれ、育った。玉井の出身地、佐呂間町は北緯44度(町役場所在地)。現役選手ではこれまで、佐呂間町の南に隣接する北見市(06年に常呂町と合併)出身のロッテ古谷の北緯43度(市役所所在地)が「最北」だったが塗り替えた。そんな人口約5400人の小さな町が今、盛り上がっている。

 ドラフト会議の翌21日に発注された祝福の垂れ幕は、今週末にも町役場に掲示予定。同町野球協会が中心となり個人後援会設立に動きだし、玉井の帰省の際には祝賀会の開催を計画している。武田温友会長(54)は「子どもの時からずっと見てきた。町を挙げて祝いたい」と手放しの喜びようで、玉井も「みんな応援してくれるのでいい報告をしたい」と期待に応えるつもりだ。

 日本ハムから指名された9人では最年長。岩舘スカウトからは「カットボールは武器になる」と期待された。自身も今年から手応えを感じ、自信を持つボール。「前面に出していきたい。1年目から(1軍)というつもりで準備していきたい」。最速147キロ右腕は夢をかなえ胸を張って帰郷する。【保坂果那】