相手に傾きかけた流れを、快投で引き戻した。日本ハムの救援陣が必死のリレーでサヨナラ勝利を演出した。2回途中からルイス・メンドーサ投手(32)が、先発加藤を引き継ぎ5回2/3を無失点のロングリリーフ。谷元、バースも無失点でつなぎ、逆転勝ちに導いた。2試合連続1失点と投手陣の踏ん張りも光った。

 逆転を信じて、日本ハムの救援陣がゼロを並べ続けた。まずはメンドーサが、広島打線の勢いを止めた。2回1死満塁で先発加藤を引き継いだ。「体もメンタルも、十分準備は出来ていたよ」。菊池を三ゴロ、丸を空振り三振で大ピンチを脱出。チェンジアップもさえ、凡打の山を築いた。3回先頭のエルドレッドに左前打を浴びたのが、唯一の被安打。7回まで5回2/3を無失点。「今季のベストピッチング」だった。

 悔しさを反骨の力に変えた。本職は先発だが、8月以降は勝てなかった。首の寝違えも発症。不完全燃焼でシーズンを終え、ポストシーズンでは中継ぎに回った。「役割にこだわりはない。勝利に貢献できたらいい」。先発の時と違い、常に全力投球。最速は152キロ。「この回が最後だ、最後だと思って投げたよ」。気がつけば7回まで投げていた。大一番で底力を発揮。即席で加わった中継ぎ陣の一員として、最高の流れでバトンを渡した。

 8回は谷元、9回はバースが無失点の盤石リレーを見せた。結束が強いブルペン陣には、新たなラッキーボーイも誕生。35歳の左腕、石井だ。第3戦から試合前の声出し役を担当。その試合でサヨナラ勝利し、第4戦も大役を担って連勝。この日も「ホームだから負けたくない。絶対に最後まであきらめない」と叫んで鼓舞し、最高の結果が待っていた。「僕、神ってる?」と笑顔のベテランの気合注入が、3連勝のアクセントとなった。

 先発が崩れても、頼りになる中継ぎ陣がいる。ブルペン担当の黒木投手コーチも「本当にすごい。ストッパー不在という中で誰がというわけではなく、全員がという気持ちでやってくれている。彼らには、やりくりで迷惑をかけています」と、頭を下げた。あと1つ勝てば、日本一。一丸の中継ぎ陣が、敵地でも腕を振る。【木下大輔】

 ▼日本ハムは第3、4戦に続いて逆転勝ち。1シリーズで3試合以上の逆転勝ちは10年ロッテ(4試合)以来9度目となり、3試合連続逆転勝ちは57年第1~3戦西鉄、03年第3~5戦阪神に次いで3度目だ。日本ハムの3勝はすべてリリーフ投手で、先発投手はまだ0勝。1シリーズでリリーフが3勝以上は83年西武以来6度目で、3試合続けてリリーフ投手が白星は56年第2~4戦西鉄以来、60年ぶり2度目。先発投手が0勝で王手をかけたのは56年西鉄、69年巨人、82年西武に次いで4度目になる。

 ▼先発加藤が1回1/3で降板。新人の先発は第4戦の岡田(広島)に次いで21人、27度目になるが、1回1/3は52年第1戦大神(南海)の2回0/3を抜く最短降板。2回を持たなかったルーキー先発は初めてだ。また、両軍のルーキーが先発したのは、50年毎日-松竹戦(毎日=佐藤と荒巻、松竹=大島)13年楽天-巨人戦(楽天=則本、巨人=菅野)に次いで3度目。

 ▼日本ハムが3連勝で王手をかけた。これで今シリーズは第1戦から本拠地チームが5連勝。第1戦から5試合以上続けて本拠地チームが勝ったのは、第6戦まで続いた79年広島-近鉄戦、第7戦すべて本拠地チームが勝利した03年ダイエー-阪神戦に次いで3度目だ。シリーズで先に王手をかけたチームは過去66度のうち55度が優勝。2勝2敗からの王手は過去26度あり、優勝が19度でV確率73%になる。サヨナラ勝ちで先に王手は61年巨人、★83年巨人、★95年ヤクルト、★09年巨人、★14年ソフトバンクに次いで6度目(★はサヨナラ弾王手)。