すしを愛し、チームを愛した。日本ハムのブランドン・レアード内野手(29)が日本シリーズMVPに輝いた。お立ち台では、チームへラブメッセージを送った。「信じられないくらい才能にあふれた、いいチームだよ」。来日2年目。無類の陽気なキャラクターとパ・リーグ本塁打キングの実力を兼ね備えた助っ人が、お決まりの決めゼリフを絶叫した。「スシ・ボーーーイ!」。

 勝負強い、珠玉の1発は8回。2点勝ち越した直後、なお2死満塁の好機だった。左中間への満塁弾。一撃で日本一を決定づけた。本塁打後、恒例の「すしポーズ」がさく裂。「何とか打ってやろうと思った。天国にいる祖父も誇りに思っていると思う」。先月亡くなった祖父への感謝も忘れなかった。日本シリーズ計3発。栗山監督は「本当にありがとう、感謝していると言われた。それが一番感動した」と目を潤ませた。

 悔し涙を耐え続けた昨季。序盤は最長で19打数無安打と、長いトンネルに迷い込んだ。「そろそろ(2軍本拠地の)鎌ケ谷行きかな…」。戦力外も覚悟した。「鎌ケ谷を飛び越えて、リリースか」。ともに苦しみ、使い続けてくれたのが栗山監督だった。「我慢強く使ってもらって、すごく感謝している。本当に、今の自分があるのは栗山監督がいたから」。

 苦難も乗り越え、勝ち取った最高の称号。「最高の気分。チームのおかげさ」。満開の笑顔が、その証しだった。【田中彩友美】

 ◆ブランドン・レアード 1987年9月11日、米カリフォルニア州サイプレス生まれ。11年7月にヤンキースでメジャーデビュー。12年9月にアストロズへ移籍。13年まで3年間でメジャー通算53試合、打率1割9分7厘、6本塁打、16打点。昨季日本ハムに移籍し、2年目の今季は39本で本塁打王。185センチ、98キロ。右投げ右打ち。今季推定年俸1億円。家族は夫人。

 ▼8回に満塁本塁打を放ったレアードが、シリーズ3本塁打でMVP。外国人選手のMVPは15年李大浩(ソフトバンク)以来9人目。日本ハムの外国人選手では初めてになる。シリーズの満塁本塁打は第5戦西川に次いで19人目となり、1シリーズで2本の満塁弾を記録したチームは、第5戦で鈴木健、第6戦で秋山が打った93年西武に次いで2度目だ。今シリーズは満塁機で広島が4打数0安打、1打点に対し、日本ハムは6打数3安打、2本塁打で10打点を記録した。