日本一の鉄腕が、メジャーの“レジェンド超え”に挑戦する。巨人山口鉄也投手(32)が10月31日、10年連続60試合登板に向け、原点の地から、スタートを切ることを決断した。今季は63試合に登板し、ヤンキース・リベラが記録した9年連続60試合登板に並んだものの、1勝6敗、防御率4・88と不本意な成績だった。完全復活を誓って、09年まで行った米アリゾナでの自主トレを決めた。

 成り上がりの原点ともいえる場所だった。06年オフ、大先輩の工藤(現ソフトバンク監督)から誘われ、同地でトレーニング。サイ・ヤング賞を獲得したシャーザー(ナショナルズ)らも訪れる施設でのハードトレで礎を築き、育成選手から球界屈指の投手に成長した。「もう1度、トレーニングを見直そうと。今年は悔しいシーズンだったので、1年間しっかり戦える体を作っていきたい」と力を込めた。

 すでに、来季に向けた準備をスタートさせた。例年なら、この時期は疲労緩和に専念し、ノースローの時期を設けるが、調整法を変更。この日もジャイアンツ球場でキャッチボールを行った。「同じことの繰り返しではダメ。今年は肩を休めずに、継続しながら、上積みしていこうと思っています」と話した。鉄腕がさらなる進化を遂げるオフを迎える。【久保賢吾】

 ◆メジャーでは 年間162試合を行うメジャーでも10年連続60試合登板のハードルは高く、652セーブのメジャー記録を持つ元ヤンキース守護神のマリアノ・リベラでも9年が最長。元レッドソックスのマイク・ティムリン、パドレスのマット・ソーントンらは10年連続。元カブスのリー・スミスは82~93年まで12年連続で達成している。