広島緒方孝市監督(47)が5日、来季の「リーグ連覇、日本一」を誓った。広島市内の沿道で31万3000人に祝福された41年ぶりの優勝パレードから、マツダスタジアムでの優勝報告会と続いた歓喜のセレモニー。あいさつに立った緒方監督は「来季は2年連続のリーグ連覇、そして日本一を勝ち取りたいと思います」と力強く宣言した。

 V戦士を生でひと目見ようと、マツダスタジアムを真っ赤に染めた3万810人のカープファン。緒方監督は、その熱意、期待をひしひしと感じていた。まだまだ満足するわけにはいかない。そんな思いがあふれ出た。

 「今年はカープらしい粘り強い野球でリーグ優勝できました。しかし日本一にはなれず、期待に応えられず、申し訳ありませんでした。でも日本シリーズの6試合は大きな経験になりました。その経験を生かし、来季は2年連続のリーグ連覇、そして日本一を勝ち取りたいと思います!」

 これ以上ない連覇宣言、日本一宣言だ。すっかり知られるようになった「おめでとうございます!」と両手を広げるパフォーマンスは見せず、どこまでも真剣に来季への思いを語った。

 朝から広島の街はカープ一色に染まっていた。中心部では待ちに待った優勝パレードが開催された。緒方監督は松田オーナーとともにオープンカーに座り、パレードの先頭を行った。それが終わるとマツダスタジアムに場所を移しての優勝報告会。ペナントを持っての場内1周、あいさつするなどファンを喜ばせた。優勝チームの本拠地最終戦、あるいはファン感謝祭で同様のことは行われるが、パレードを組み合わせてイベントにするのは異例ともいえる。まさにファンに支えられているチームらしい1日だった。

 この日の主役は、やはり引退を決めている黒田だった。しかし来季以降、その右腕を欠いたチームで戦い、勝って、そして再びファンに喜びをもたらさなければならない。引っ張るのは、もちろん、指揮官だ。広島にとって、カープにとって記念すべき日に、そんな覚悟に裏打ちされた緒方監督の宣言が響いた。【編集委員・高原寿夫】