ソフトバンク工藤公康監督(53)が13日、武田、千賀、東浜の若手3本柱に完投増を指令した。今季は「40完投」を目指したが、日本一に輝いた昨年の10から7に減った。指揮官は「1シーズン40完投の理想は来年も変わらない。そうすることで中継ぎ陣も50試合程度の登板に抑えることができる」と若鷹の奮起を求めた。

 今季は千賀の3完投がチームトップだった。だが佐藤投手コーチは「東浜は年間5完投くらいできる能力はある」と話す。今季9勝の26歳東浜だけでなく、23歳で14勝の武田、12勝の千賀にも当然同じような期待をかける。3人に託す最低ノルマは5完投以上だ。

 完投増を目指し、この秋の宮崎キャンプはランニングの走行距離を昨秋の1・5倍にしている。昨年は1日最高でも4キロだったが、今年は最大6キロの日もあった。インターバル走を増やし、1本のクリアタイムも昨年より短く設定。心拍数を高めるメニューが増え、慣れることで回復力を高めている。西武時代の87年に年間23完投したこともある工藤監督は「走る体力と投げる体力は違うけど、回復力は同じ。春のキャンプは先発投手がカギを握っている」と力を込めた。

 今季完投0の東浜は「マウンドに上がったらいつも狙っている。このランニングもムダにはならないはず」と意気込んだ。亜大時代は4年間で22完封を記録したが、プロの4年間は完封完投も1試合だけ。プロは1球1球のプレッシャー、疲労度が大きい。その投球間の心拍数の高まりを戻すことにも、回復力が役立つ。完投数を増やし、V奪回へつなげる。【石橋隆雄】