今季の楽天は3年連続Bクラスの5位に終わったが、攻撃面では一定の収穫がうかがえた。チーム打撃成績は、打率2割5分7厘(リーグ4位)、101本塁打(同4位)、544得点(同5位)。個別に見れば強調できる数字ではないが、昨季はこの3部門全てでリーグワーストを記録していた(2割4分1厘、85本塁打、463得点)。最重要課題だった得点力の強化に成功した証しだろう。

 新戦力が台頭し、戦力は確実に上昇した。途中加入のペゲーロは51試合で10本塁打を放ち、アマダーも故障に泣かされながら39試合で9本塁打。年間を通じて出場できれば、4番ウィーラーとの外国人トリオは相手投手の驚異となる。ルーキーの茂木は遊撃として117試合に出場し、チーム1位の打率2割7分8厘を記録。シーズン途中から中堅に定着した島内も、打率2割8分7厘、9本塁打と活躍。嶋、藤田、茂木、島内というセンターラインが確立された意義は大きい。

 今季の戦いから見えた来季への課題は、則本に次ぐ先発投手の強化に尽きるだろう。2人目の先発の柱が不在で、後半戦の重要な局面では則本1人に負担が集中した。中5日での登板が続いたエースは、8月13日の日本ハム戦から5連敗を含む7戦勝ち星なしと急失速。結果的に、自身とチームの貯金をはき出した。

 今季のチームは3連勝が最高で、1度も4連勝を達成できなかった。則本から始まった3連勝後のカード頭にもう1人の先発の柱を配置できれば、この壁を破れていた可能性はある。

 来季は、西武から国内FAで移籍した岸が加わる。則本と2本柱を形成し、今季までの状況を一変させることができる実力を持つ。リーグ屈指の右腕の加入で先発陣全体の活性化にも成功すれば、Aクラスを狙える態勢が整う。【16年楽天担当=松本岳志】