プレーバック日刊スポーツ! 過去の1月23日付紙面を振り返ります。2015年1月23日の大阪版1面は、阪神鳥谷敬内野手の生涯虎宣言を報じています。

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 生涯虎を初めて明言 !  海外FA宣言していた阪神鳥谷敬内野手(33)が22日、兵庫・西宮市内の球団事務所で再契約交渉に臨み、1億円増となる推定年俸4億円の5年契約でサインした。今オフはメジャー挑戦を視野に入れ海外FA権を行使し、約2カ月間の熟考を経て今月上旬に残留を決断。阪神歴代最長に並ぶ5年契約を結び、「阪神で終われたら」と宣言した。

  降りしきる雨音を吹き飛ばす、雲ひとつない爽やかな笑顔だ。鳥谷が50日ぶりの肉声で沈黙を破り、初めて「生涯虎」を誓った。

 鳥谷 向こうでやるのか、ここでやるのか、しっかり決めた。気持ち的にスッキリしました。決めるにあたって阪神で優勝したいと強く思った。阪神で終われたらと思っています。

 公の場でのコメントは、ゴールデングラブ賞表彰式に出席した12月3日以来だ。11月に海外FA権行使を宣言。早大時代からの夢であるメジャー挑戦か残留か、約2カ月間「一番悩んだ」。ブルージェイズなど複数球団が水面下でメジャー契約に興味を示す中、1月8日に残留を選択。自身初の複数年契約を結んだ。メジャー挑戦の夢を封印する重たい決断。決め手は日本一への強い欲求だった。

 鳥谷 一番は優勝。まだ1度も日本一になっていない。そこを目指してやっていきたい。リーグ優勝した2年目(05年)の時はベテランの方々に優勝させてもらったという思いがある。年を重ねる中で優勝できていない。なんとか優勝を味わってもらえたらと毎年思っていた。決める時に、そこが一番大きかった。

 昨季はリーグ2位でCSを突破し、日本シリーズでソフトバンクに敗れた。志半ばで縦じまを脱ぐわけにはいかない。キャプテン4年目となる15年は、10年ぶりのリーグ制覇、そして30年ぶりの日本一奪回が重大使命となる。この日は阪神歴代最長タイの5年契約とみられる総額20億円級の条件でサイン。鉄人記録の更新もいよいよ視野に入ってきた。

 鳥谷 試合に出続けることには常にこだわってやっている。出続ける中でどれだけ成績を残せるか。これからもどんどん続けていけたらと思っています。

 現在、現役最長で歴代3位の1466試合連続出場中。同2位金本の1766試合は3シーズンで更新が可能。歴代1位衣笠の2215試合は今季から6シーズン目に記録がかかる。負担の大きい遊撃手のまま、新たな鉄人伝説を作る。鳥谷はメジャー挑戦に匹敵する、難解な挑戦をスタートさせる。

 阪神鳥谷は全部門でのキャリアハイ更新を誓った。「過去に自分が残してきたものを、すべて上回れるようにしてきたい」と宣言。主要3部門なら昨季記録した打率3割1分3厘、09年の20本塁打、10年の104打点が自己最高。高い壁が並ぶが、気合十分だ。

 契約更改の前には甲子園室内練習場で自主トレを公開。新井とキャッチボール、ティー打撃、ダッシュなどで約4時間汗を流した。1月7日からロッテ井口らとの沖縄合同自主トレに参加し、前日21日に打ち上げ。走り込みや筋力トレーニング、ロングティーやノックを精力的に続け、「すぐにでもキャンプインできる状態」だと言う。

 バットは15年も昨季と同じく33.5インチ、34.5インチの2本を使い分ける方向。3年連続4度目のゴールデングラブ賞受賞を狙う遊撃守備と同様、打撃面の準備にもスキはない。

▼鳥谷の5年契約は、01年オフに日本ハムからFAで獲得した片岡篤史と並び最長。新庄剛志がFA宣言した00年オフにも、阪神は5年契約を提示したが、メッツに移籍した。

※記録と表記は当時のもの