未来の侍が1軍合流を「一発回答」で飾った。右肩痛で2軍キャンプ調整を続けていた西武森友哉捕手(21)は23日、高知・安芸で行われた阪神との2軍練習試合に5番捕手として先発出場。今季初めての実戦マスクを無難にこなし、打つ方では1本塁打を含む2安打2打点と本領を発揮した。今日24日から高知・春野での1軍キャンプに完全合流。捕手としての勝負の1年、ようやくスタートラインに立った。

 眼下に広がる太平洋のブルーに、高台の球場から舞い上がる白球が映えた。2回表1死。森は阪神先発福永の初球カーブを捉えた。「風ですよ、風」と笑ったが、バックスクリーン右のスコアボードを直撃する、文句なしの1発だった。

 ベンチにハイタッチで迎えられ、ひと息をつくとすぐに、レガーズを手に取った。右肩痛から回復し、今季初めて迎える捕手としての実戦。予定ではこの日から1軍の練習に合流するはずだったが「捕手として試合に出たい」と志願した。

 捕手としての守りは3イニング。盗塁阻止など強い送球を求められる場面はなかった。「場数が必要。感覚を取り戻していきたい」と言葉も慎重。それでもベンチで潮崎2軍監督から「右肩に違和感はないか?」と聞かれた際には「大丈夫です」と笑顔をみせた。

 昨季日本シリーズでは日本ハム、広島両軍の捕手が全員無安打。そんな状況もあり、打てる捕手として球界全体からも期待される。本人も「捕手で勝負」と決意。新年8日には、最高気温4度の極寒で閑散とした西武第2球場に、ふらりと現れた。そしてまるで儀式のように、白い息と体熱の湯気を上げながら、1時間以上もフルスイングのマシン打撃を続けた。

 だがキャンプ直前に右肩痛を発症。2軍調整を余儀なくされた。投手陣は半分以上が1軍キャンプ初参加と、顔ぶれが大幅に変わっている。若手投手とのコミュニケーションの進み具合で、炭谷、岡田らライバルに後れを取っているのは事実。しかし、それを悔やんでも仕方はない。守る。打つ。そして話し合う。時を惜しみ、遅れを取り戻す。【塩畑大輔】