止まらないぜ! 広島菊池涼介内野手(27)が5安打3打点と打ち出の小づち状態だ。1回に右前打を放つと、4、5、6回も中安、遊撃内野安打、中安。仕上げは7回。2死二塁から巨人森福のスライダーを左翼スタンドに運んだ。4イニング連続安打となる5安打目は、今季1号2ラン。勝利をたぐり寄せる一撃に「必死に食らいついていきました。いいポイントで打てた」と振り返った。

 戻ってきた。WBCから帰って以降、眠れない夜が続いた。1時間置きに目がさめ「5度寝状態だよ」と目をこする日々。打撃にもズレが生じた。試合前の打率は1割8分9厘だった。だが、どんな時でも「大丈夫」と言い訳はなし。それどころか帽子のつばに自ら書いた「えがお」の文字を見つめ、楽しむ原点をひたすら追った。打てないときでも犠打や右打ちなど、チーム打撃で貢献。体調が戻って乱れ打ちだ。「僕だけかみ合ってなかった。また打てるように練習します」と笑った。

 帽子のつばにはもう1つ、大きく「38」を書き入れた。他でもない赤松の背番号。胃がんからの復帰を目指す「大好きな先輩」。赤松は苦しいときに菊池に、菊池はキャンプ中のロッカー室からも赤松に、互いにテレビ電話をかけた。しょんぼりするのは嫌いだ。38番のユニホームをロッカーに掲げる選手会長小窪も、森福から決勝打を放った。まさに全員で巨人を攻略。菊池は「日替わりヒーローで勝ってきた。今日だけでなく、また貢献出来るように頑張ります」と結んだ。心の奥底でつながったチームは、強い。【池本泰尚】